漢字 編集

字源 編集

  • 形声。当初の字体は「𧴦」で、「」+音符「𠂈 /*TIN/」。「𧴦」にさらに音符「 /*TENG/」と羨符(意味を持たない装飾的な筆画)「八」を加えて「眞(真)」の字体となる。もと「めずらしい」を意味する漢語 /*trin/}を表す字。のち仮借して「まこと」「本当」を意味する漢語{ /*tin/}に用いる。[字源 1]
    • 甲骨文字金文にある「」(さじ)+「」からなる字と混同されることがあるが、この文字は「」の異体字[字源 2]で「真」とは別字である[字源 3]。「真」は「匕」とも「鼎」とも関係がない。
    • 説文解字』では仙人が天に登るさまと解釈されているほか、「𠤎」+「」で死体のさまと解釈する説もある[字源 4]が、いずれも金文の形とは一致しない誤った解釈である。
 

小篆

説文
(漢)

  1. 唐蘭 「懐鉛随録・釈真」 『考古社刊』第5期 1937年、144-148頁。
    謝明文 「釈“顛”字」 『古文字研究』第30輯 中国古文字研究会・中山大学古文字研究所編、中華書局、2014年、493-498頁。
    季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、693-694頁。
  2. 王子楊 「甲骨文煮字補釈」 『出土文献研究』第18輯 中国文化遺産研究院編、中西書局、2019年、22-35頁。
  3. 陳剣 「甲骨金文旧釈“䵼”之字及相関諸字新釈」 『出土文献与古文字研究』第2輯 復旦大学出土文献与古文字研究中心編、上海古籍出版社、2008年、31頁。
    謝明文 「釈“顛”字」 『古文字研究』第30輯 中国古文字研究会・中山大学古文字研究所編、中華書局、2014年、497頁⑭。
    季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、693-694頁。
  4. 白川静 『新訂 字統』 平凡社、2004年、489頁。

関連字 編集

」を音符とする形声文字 (諧声域=*TIN)
端母 透母 定母
一等 平声 先韻 𩥄𧽍𠑘
上声 銑韻
去声 霰韻 𧽍
入声 屑韻
知母 徹母 澄母
二等 平声 山韻 -
上声 産韻 - - -
去声 襉韻 - -
入声 鎋韻 -
章母 昌母 常母
三等A 平声 眞韻 𣞟
上声 軫韻 𣞟 -
去声 震韻 𡽆 -
入声 質韻 -
知母 徹母 澄母
三等B 平声 眞韻
上声 軫韻
去声 震韻
入声 質韻

意義 編集

  1. まこと。正しいこと。
  2. まことに本当に。うそではないこと。
  3. 自然のままであること。
  4. うまれつき
  5. 本質
  6. みち
  7. すがた

参考 編集

日本語 編集

発音(?) 編集

名詞 編集

  1. シン)論理演算において、ある命題が、前提となる命題に対して矛盾を生じないこと。

手書きの字形について 編集

第1画及第2画を「ナ」のように(上記筆順画像のように)書いてもよい[1]

熟語 編集

中国語 編集

*

形容詞 編集

  1. 本当
  2. はっきりしている

副詞 編集

  1. 本当に

熟語 編集

朝鮮語 編集

を参照のこと。

コード等 編集

脚注 編集