このページはウィクショナリーにおいて用例をどのように提示するかを説明した手引きとなるべく準備されていますが書きかけです。編集や提案を歓迎します。

ウィクショナリーでは各語義に用例を示します。この文書では用例の選び方や示し方を説明します。

用例を示す理由 編集

品詞や語義の根拠
対象の語句が実在の用例においてどのような構文で使われるかを見ると、品詞を判断する根拠が得られることがあります。実在の文脈中で対象の語句を語釈文や類義語へと置き換えたときに意味が通るかどうかを調べると、語釈文や類義語が妥当かどうかが判断できることがあります。
広く使われている語句であることの証明
その語句や語義がウィクショナリー編集者もしくはその他の限定された内輪の仲間同士でのみ通用する語句ではなく、対象言語の一般的な語彙の一部であると証明したいとき、用例を示すのはよい方法のひとつです。異なる時代の異なる作者による独立した作品での用例があれば、その語句が安定した語彙の一部として広く使われていることが強く示唆されます。
典型的な用法の実例を示すことによる理解促進
その語句がどのような場面や文体で使われるかを示したいとき、文章で説明するだけでなく実例を示すことで、読者の理解を促進できる場合があります。

よい用例の選び方 編集

その語または語義の典型的な使われ方の実例である
用例は母語話者によって書かれた文章から採取してください。既存の辞書における語釈文や『「○○」という言葉は……』といった文は、その語を実際に使う例ではないため、「○○」の用例としては望ましくありません。文学的効果を意図して書かれた特異な表現からの採取も避けてください。対象の語に応じた適切な語彙で構成されている用例を選んでください。たとえば高級語彙が多く含まれる文章は、簡単な語の用例として不適切だったりその語を知らない人にとって参考にならなかったりする場合があります。あなたが母語話者もしくはそれに近いレベルの話者であれば、作例をしてもかまいません(詳しくはWiktionary:作例をご覧ください)。
多様な年代、分野から採取されている
自然に使われうる範囲で、できるだけ広い年代の、できるだけ多くの分野の文章から採取してください。たとえば話し言葉や書き言葉、法的文書や小説などを探してみてください。逆に、ほとんど同じような種類の用例は、冗長なので複数入れる必要はありません。
自己完結的である
引用されていない部分を見ないと意味が分からない引用は避けてください。理解するために最低限必要な範囲の先行部分も引用してください。
短い
長い引用はできるだけ避けてください。引用部分が項目全体に対して多くを占めていると、語釈文等、項目内の他の部分が読者の目に入りにくくなる恐れがあります。ひとつの用例の長さは2文以内が目安です。

用例に付記する要素 編集

用例には、引用された文や句そのものに加えて、著者(発言者)、作品名(発言の場)、公表年または執筆年を明示するようにしてください。これらは著作権侵害がないことを示すとともに、その語句に関する情報として有用です。

著者
著作権法上の引用として用例を記載する場合、著者を明示することは必須です。著作権の保護期間を満了した文章である場合にも、著者の死後所定の年数が経過していなければならないので、著者は明示するべきです。また、著者名を示すことにより、著者がその表現を使ったとき、どのような立場や場面にいたかという情報が分かることもあります。
作品名(発言の場)
著作権法上の引用として用例を記載する場合、作品名を明示することは必須です。著作権のない表現である場合も、作品または発言の場は読者の理解を深める情報となりえます。たとえば、読者は用例を通してどのような文脈でその表現が実際に使われるのか、使われてきたのかを知ることができます。
著作権の保護期間を満了した文章である場合、その根拠を示すために公表年が必要な場合があります(たとえば匿名で公表された新聞記事がそのひとつです)。再版された作品の場合はいつが初出だったかを示すべきです。また、その表現が執筆・発言された年代が明らかになれば、語義がどのように変遷したかを知ることができるかもしれません。

用例を示す形式 編集

語釈文の次の行に、1段下げてその語義の用例を示します。用例が見分けやすいように、丸印付きの箇条書きによる形式(ウィキテキストでは「*」)が推奨されています。コロン(:)による字下げも許容されます。用例中の説明対象の語句は太字にして強調させます。

なきむし(き)

  1. 感情が傷つきやすく、泣きやすい人。その性質

用例の採取 編集

Wiktionary:用例/採取候補の一覧 も参照。

日本語 編集

日本語の用例掲載にあたっては、用例の採取元の著者の権利を、日本の著作権法に照らして侵害しないようにする必要があると考えられています。これはウィクショナリー日本語版が日本語話者によって主に読まれること、用例の著者が日本語話者であること、日本語話者のほとんどが日本に在住していることによります。

著作権のない文章からの採取 編集

ウィクショナリーでは著作権侵害の可能性を極力小さくするため、著作権のない文章から用例を採取することが推奨されています。著作権の保護期間を満了した文章や、著作権保護の対象にならない文章を検索することができるツールとしては下記のようなものがあります。

e-Gov法令データ検索システム
「憲法その他の法令」は著作権の対象から最初に除かれます。著作権に配慮する必要が無いため、比較的新しい表現であっても引用に問題がありません。
青空文庫
青空文庫からは近現代の日本語文学作品における用例を採取することができます。掲載されているほとんどの作品は著作権保護期間を満了しているため、自由に転載できます。グーグルによって索引付されており、全文検索が可能です。
神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 新聞記事文庫
新聞記事文庫からは近現代の日本語新聞記事における用例を採取することができます。『デジタル版新聞記事文庫について』によれば掲載されている記事はすべて昭和18年以前に書かれた署名なし記事のため、著作権の保護期間を満了しています。公式サイトの検索システムのほかグーグルによっても索引付されており、それぞれ全文検索が可能です。
国会議事録検索システム
国会議事録からは近現代の日本語議会発言の用例を採取することができます。国会議事録検索システムのFAQによれば、国会議事録に掲載されている発言の多くは著作権法第40条第1項の「政治上の演説」等であり、著作権者の許諾なく転載できることがほとんどです。ただし、政府職員としての立場での発言等は演説とみなされない可能性もあります。公式サイトの検索システムのほかグーグルによっても索引付されており、それぞれ全文検索が可能です。
近代デジタルライブラリー
近代デジタルライブラリーからは近現代の日本語の書籍から用例を採取することができます。掲載されている作品は著作権保護期間を満了しているため、自由に転載できます。本文は大部分が画像のみのため、全文検索ができません。目次の全文検索が可能な場合があります。
帝国議会会議録検索システム
帝国議会会議録からは近現代の日本語議会発言の用例を採取することができます。国会議事録と同様に著作権法に定められた「政治上の演説」にあたるため、著作権者の許諾なしに個々の発言を転載することができると考えられます。公式サイトで目次と索引の検索が可能です。本文は大部分は画像で、全文検索ができません。
Google ブックスの日付指定検索
Google ブックスでは「1900年以前」等、著作権保護期間を満了している可能性の高い作品を指定して検索することができます。ただし、年月日は正確とは限らないため、採取する前に本当にその年月日に公表されたものか、著者の死後所定の年数が経過しているかどうか、確認してください。

この他、特定の著者や作品に限らず広く使われている一般的な表現は、著作権保護の対象とならない場合があります。

フリーでない文章からの採取 編集

著作権がありフリーライセンスが付与されていない文章から採取された用例を日本の著作権法上の「引用」としてウィクショナリーに掲載すべきどうかについては議論があります。

いずれにしても、掲載する場合には、誰が、いつ、どこで公表した作品・発言であるかを明示することは強く求められます。これは引用の要件を満たすために必要であり、読者への情報としても有用です。

KOTONOHA 現代日本語書き言葉均衡コーパス「少納言」
現代日本語(1970年代以降[1])の用例を採取することができます。大部分は著作権保護の対象となっていると考えられるため、ウィクショナリーへの掲載にあたっては注意が必要かもしれません。

用例の依頼 編集

用例の依頼には、テンプレート{{rfex}}が用意されています。収集が可能の場合は、できるだけ用例をそのまま追加した方が望ましいのですが、用例が必要であると判断された箇所について、現時点の収集が困難な場合、このテンプレートをご利用ください。

註釈 編集

関連ページ 編集