あからひく【赤ら引く、赤羅引】
- 「朝」、「色」、「君」、「子」、「敷妙」、「月」、「膚」、「日」にかかる枕詞。
- 押照る 難波の菅の ねもころに 君が聞こして 年深く 長くし云へば 真そ鏡 磨ぎし情を 縦してし その日の極み 浪の共 靡く玉藻の かにかくに 意は持たず 大船の 憑める時に ちはやぶる 神や離けけむ うつせみの 人か禁ふらむ 通はしし 君も来まさず 玉梓の 使も見えず なりぬれば いたもすべなみ ぬば玉の 夜はすがらに 赤らひく 日も闇るるまで 嘆けども しるしを無み 念へども たづきをしらに 幼婦と 言はくもしるく た小童の 哭のみ泣きつつ たもとほり 君が使を 待ちやかねてむ(大伴坂上郎女)――「萬葉集評釈 巻第四(619)」『窪田空穂全集』第14巻(万葉集評釈 第Ⅱ)、角川書店、1966年4月、436-437頁。
- 朱ら引く 敷妙の子を 屡見れば 人妻ゆゑに 吾恋ひぬべし(柿本人麻呂)――「萬葉集評釈 巻第四(1999)」『窪田空穂全集』第16巻(万葉集評釈 第Ⅳ)、角川書店、1966年8月、430頁。