えらい【偉い、豪い】
- 程度が甚だしい。
- 程度が甚だしく悪い。大変だ。
- 「えらいことになった、どうしたらいいだろう、それにあの女の連れてくる婢も、藁人形だ、牡丹の飾の燈籠もやっぱりあったのだ、どうしたらいいだろう」(田中貢太郎 『牡丹燈記』)
- 山川石亭先生が、蒼い顔をして入って来た。「どうも、えらいことになりました」(久生十蘭『犂氏の友情』、1939年)
- 尊敬に値する。立派だ。
- この講堂にかくまでつめかけられた人数の景況から推すと堺と云う所はけっして吝な所ではない、偉い所に違いない。(夏目漱石『中味と形式――明治四十四年八月堺において述――』
- 身分や地位が高い。高貴だ。
- たとえば、天皇という人は他の誰よりも偉いと思わせられ、誰にも頭を下げる必要がないと教育されている。(坂口安吾『天皇陛下にさゝぐる言葉』)
- この谷間では、お百姓よりもお坊さんが大変威張つてゐます。「先生とお坊さんとどつちが豪いの?」 村の子供に聞くと、坊さんの方が上だらうつて。(林芙美子『谷間からの手紙』1931年)
- 思いがけない。不都合である。
- 「えらいところを見られた」
- つづいて与吉も、橋桁(げた)の下へもぐりこんでみると、そこに、浮き世をよその蒲鉾(かまぼこ)建ての乞食小屋。チョビ安、えらいところへ逃げこんだもので……(林不忘『丹下左膳』「こけ猿の巻」、1933年)
- (中部地方、関西地方、中国地方、四国の方言)しんどい。疲れている。くたびれている。大変そうだ。
- 英語