古典日本語「にほふ」 < 「に」(丹) + 「ほ」(秀)
におう【臭う・匂う】
- においがあたりに漂い、鼻に感じられる。
- 窓のそとは春だ。すぐそばの高い煉瓦塀を越えて、街路樹のマロニエの若葉がにおっている。(大杉栄『日本脱出記』)
- ほんとだ。煙草の臭いがするっきりだ。こりゃひどい、鼻じゅういっぱい臭うぜ。(ルナアル、岸田国士訳『にんじん』)
- においをかぐ。
- 牛小舎の匂いは、すべっこくて、柔かくて、そして甘かった。におっていると、いいこころもちがした。(宮本百合子『道灌山』)
- なんとなくそれらしい気配が感じられる。
- 色づく。かがやく。照り映える。
- 日の光が、直射したときは、海は銀色にかがやいていたが、日が傾くにつれて、濃い青みをましてだんだん黄昏に近づくと、紫色ににおってみえるのでありました。(小川未明『希望』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
におわない |
未然形 + ない
|
意志・勧誘 |
におおう |
未然形音便 + う
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丁寧 |
においます |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
におった |
連用形音便 + た
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言い切り |
におう |
終止形のみ
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名詞化 |
におうこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
におえば |
仮定形 + ば
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命令 |
におえ |
命令形のみ
|
- 「かおる」のように好ましいことに関していう場合は専ら【匂う】と表記し、好ましくないことに関していう場合は専ら【臭う】と表記する。
におう