二 三(にさん)
- 二か三くらい。少々。
- 紫でちょっと切れた図面が、二三寸の間隔をとって、振り返る男の体(たい)のこなし具合で、うまい按排につながれている。不即不離とはこの刹那の有様を形容すべき言葉と思う。(夏目漱石 『草枕』)
- 素人の初段は、玄人の初段とは二三段違ふと云ふのである。(菊池寛 『将棋』)
- 軽井沢も冬じゅう人気のないことは同様だが、それでも、いつも二三人は外人の患者のいるらしいサナトリウムのあたりまで来ると、何となく人気が漂っていて、万物蕭条とした中に暖炉の烟らしいものの立ち昇っているのなんぞを遠くから見ただけでも、何か心のなぐさまるのを感じた。(堀辰雄 『木の十字架』)