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{{jachar|都|合}}(つごう)
#(副詞的にも用いて)[[合計]](する)。[[全部]](で)。
#:*上野より水戸線に由りて、土浦まで汽車にて二時間半、土浦より北条まで四里、馬車にて二時間、北条より筑波町まで一里、徒歩して一時間、'''都合'''六時間以内の行程、これ東京よりの順路なるが、上野発が午後二時二十分なれば、途中にて日が暮るべし。([[w:大町桂月|大町桂月]] 『秋の筑波山』)
#何かの用を満たす、ある物、特に金銭を集める。[[工面]]する、[[調達]]する。
#:*君が大切にしている水晶さまにお願いして、缶詰を二箱ぐらいなんとか'''都合'''してもらえまいか。([[w:海野十三|海野十三]] 『火星探険』)
#:*せつ子はこれまでに青木から八十万円ほど出させている。自分で二百万'''都合'''するから、青木には三百万'''都合'''して、と頼んだ。五百万[[耳がそろう|耳がそろわ]]なくとも仕事に[[着手]]できるが、八十万じゃ、着手どころか、事務室もかりられない。([[w:坂口安吾|坂口安吾]] 『街はふるさと』 )
#限りあるものを[[やりくり|やり繰り]]する。
#:*私たちはニルの奥地へ行く前と、帰ってからと、毎日時間を'''都合'''してカイロの町と郊外を見て歩いた。([[w:野上豊一郎|野上豊一郎]]『七重文化の都市』)
#:*私は須山家から電話がかかると、他の運転手の番であっても成るべく'''都合'''して、自分が行くことにしてしまいました。([[w:浜尾四郎|浜尾四郎]] 『死者の権利』)
#何かをする際に、そのことの[[実現]]が[[可能]]である[[状況]]や[[状態]]。
#:*いろいろ御[[相談]]もありますので、二十五日の午後一時から鉄塔書院で御会いいたしたいと存じますが御'''都合'''[[如何]]でございますか? ([[w:野呂栄太郎|野呂栄太郎]] 『平野義太郎宛書簡 一九三二年五月二十三日』)
#:*元来作者は自分自身の中に居る「坊ちゃん」「赤シャツ」「のだ」「狸」「山あらし」を気任せに取出して紙面の舞台で踊らせ歌わせる。見物人の読者はそれを見て各自の中に居る「坊ちゃん」「赤シャツ」エトセトラを共鳴させる。気楽なたちの人はそのうちで自分に'''都合'''のいい気持のいいのだけを自由に振動させ、'''都合'''のわるいのはそっとダンプしておく。([[w:寺田寅彦|寺田寅彦]] 『スパーク』)
#何かをする際に、そのことの[[実現]]が[[不可能]]な[[状況]]や[[事情]]。また[[自身]]の[[意思]]や[[希望]]と[[無関係]]にそのようにせざるを得ない事情。
#:*「私は今日は'''都合'''があって、御同席は出来ませんが[[万事]][[よろしく]]……」といって竹内氏は帰られました。([[w:高村光雲|高村光雲]] 『幕末維新懐古談 学校へ奉職した前後のはなし』)
#:*[[なにしろ]]、父の勤めの'''都合'''で、香港や廣東で[[幼時]]をすごし、それからぽんと東京のミッションスクールの[[寄宿舍]]に入れられてしまつてゐたのだから……([[w:堀辰雄|堀辰雄]] 『わぎもこ』)
#(一般的に)[[状況]]。[[事情]]。
#:*叔父は事業家でいろいろな事に手を出しては失敗する、云わば[[やまぎ|山気]]の多い男であった。宗助が東京にいる時分も、よく宗助の父を説きつけては、旨い事を云って金を引き出したものである。宗助の父にも慾があったかも知れないが、この伝で叔父の事業に注ぎ込んだ金高はけっして少ないものではなかった。父の亡くなったこの際にも、叔父の'''都合'''は元と余り変っていない様子であったが、生前の[[義理]]もあるし、またこう云う男の常として、いざと云う場合には比較的[[融通]]のつくものと見えて、叔父は快よく整理を引き受けてくれた。([[w:夏目漱石|夏目漱石]]『門』)
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名詞・動詞用法