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#'''しぜん'''
##[[あるがまま]]であること。人の[[意思]]を持った[[行為]]により、[[変化]]が加えられていないこと。
##:*その晩は、傍へ置いたまま、私は私で読書をはじめた。忘れてしまって身体を動かすとまた跳び込んだ。最も'''自然'''な状態で本を読んでいるところを見られてしまったのである。([[w:梶井基次郎|梶井基次郎]] 『交尾』)
##ある物事の[[因果]]やある人の[[行動]]に、[[不思議]]や[[納得]]がいかないものがないこと。
##:*けれ共、作品としては'''自然'''と出来上ったもので、故とらしく[[教訓]]を狙って書いたものではないが、'''自然'''と出来上った其作品の中に於て、余は如上の教訓を認め得たと云うなれば、私は作家として満足である。([[w:夏目漱石|夏目漱石]] 『予の描かんと欲する作品』)
##:*[[一身]]の[[利害]]のためには主を売り友を売り妻子を売り、[[掠奪]][[暴行]]、[[盗賊]][[野武士]]から身を起して[[天下]]を望むのが'''自然'''であるから[[時代]]の[[道徳]]も[[良識]]もその線に沿うてゐるのは'''自然'''である。([[w:坂口安吾|坂口安吾]] 『家康』)
##人の[[社会]]を取り巻く、[[人為]]を介さない[[環境]]一般。
##:*もしも'''自然'''というものが地球上どこでも同じ[[相貌]]を呈しているものとしたら、日本の'''自然'''も外国の'''自然'''も同じであるはずであって、従って上記のごとき問題の内容[[吟味]]は不必要であるが、しかし[[実際]]には'''自然'''の相貌が至るところむしろ驚くべき[[多様]][[多彩]]の変化を示していて、ひと口に自然と言ってしまうにはあまりに[[複雑]]な[[変化]]を見せているのである。([[w:寺田寅彦|寺田寅彦]] 『日本人の自然観』)
#(じねん)仏教語、[[万物]]が現在あるがままに存在しているものであり、因果によって生じたのではないとする[[無因論]]のこと。仏教の[[因果論]]を否定する[[外道]]の思想のひとつ。