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'''ひろう'''【[[拾う]]】
#[[おちる|落ちて]]いる[[もの|物]]を、[[つかむ|つかみ]][[あげる|上げて]][[持つ]]。
#*余も一つ二つ'''拾って'''向こうの便所の屋根へ投げると、カラカラところがって向こう側へ落ちる。([[w:寺田寅彦|寺田寅彦]]『どんぐり』)〔1905年〕<ref>青空文庫(1999年11月17日公開、2003年10月22日修正)(底本:「寺田寅彦随筆集 第一巻」小宮豊隆編、岩波文庫、岩波書店、1997年12月15日第81刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/827_13489.html 2018年4月26日参照。</ref>
#*「'''拾った'''ものは返さなくてはいけない。指環はどこに隠してあるのか」([[w:夢野久作|夢野久作]]『正夢』)〔1919年〕<ref>青空文庫(2000年1月19日公開、2006年5月3日修正)(底本:「夢野久作全集1」ちくま文庫、筑摩書房、1992年5月22日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/926_21798.html 2018年4月26日参照。</ref>
#*そして、新しい相手がどうかしたはずみにチョークを取り落して、それを'''拾う'''ために身を跼めた。([[w:橋本五郎|橋本五郎]]『撞球室の七人』)〔1931年〕<ref>青空文庫(2008年11月10日作成)(底本:「「探偵」傑作選 幻の探偵雑誌9」光文社文庫、光文社、2002年1月20日初版1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000900/files/47768_33421.html 2018年4月22日参照。</ref>
#[[タクシー]]などの[[街中]]を[[巡回]]する[[公共交通機関]]の[[車]]を、[[つかまえる|捕まえて]][[のる|乗る]]。
#*二人は辻馬車を'''ひろって'''、オレアンダへ出掛けた。([[w:アントン・チェーホフ|アントン・チェーホフ]]『犬を連れた奥さん』)〔[[w:神西清|神西清]]訳1940年〕<ref>青空文庫(2007年12月12日作成)(底本:「可愛い女・犬を連れた奥さん 他一篇」岩波文庫、岩波書店、2004年9月16日改版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001155/files/43644_29257.html 2018年4月27日参照。</ref>
#*[……]木挽町で空のタクシーを'''拾う'''と、真っ直ぐ第一ホテルへ帰った。([[w:織田作之助|織田作之助]]『夜の構図』)〔1946年〕<ref>青空文庫(2013年9月28日作成)(底本:「定本織田作之助全集 第六巻」文泉堂出版、1976年4月25日)https://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/47289_51221.html 2018年4月22日参照。</ref>
#*「自動車を'''拾え'''。自動車を。」「どこへ?」「新宿だ。」([[w:太宰治|太宰治]]『女類』)〔1948年〕<ref>青空文庫(2000年1月24日公開、2005年11月6日修正)(底本:「太宰治全集9」ちくま文庫、筑摩書房、1998年6月15日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/274_20183.html 2018年4月22日参照。</ref>
#[[ひと|人]]を[[車]]に[[のせる|乗せる]]。
#*福岡あたりの電車は、小さな停留場を無闇に殖やして、お客を'''拾う'''ことに腐心しているようであるが、東京では正反対だから面白い。([[w:夢野久作|夢野久作]]『街頭から見た新東京の裏面』)〔1924年〕<ref>青空文庫(2000年4月25日公開、2012年5月3日修正)(底本:「夢野久作全集2」ちくま文庫、筑摩書房、1992年6月22日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/940_21952.html 2018年4月22日参照。</ref>
#*雨降りのさなか、湖水に行く道で大池の車に'''拾わ'''れたとき、うるさいひっかかりにならなければいいがと、尻込みをしかけた瞬間があった。([[w:久生十蘭|久生十蘭]]『肌色の月』)〔1957年〕<ref>青空文庫(2008年9月13日作成)(底本:「久生十蘭全集 6」三一書房、1974年6月30日第1版第2刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001224/files/46147_32597.html 2018年4月22日参照。</ref>
#[[多数]]の中から[[みつける|見つけ]]、[[えらぶ|選ぶ]]。
#*いやこれは失礼! どうやら街頭で'''拾った'''ような俗語を、我等の主人公の口からすべらせてしまって恐縮です。([[w:ニコライ・ゴーゴリ|ニコライ・ゴーゴリ]]『死せる魂』)〔平井肇訳1939年〕<ref>青空文庫(2016年9月21日作成)(底本:「死せる魂 中」岩波文庫、岩波書店、1969年10月20日第20刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000207/files/42217_60008.html 2018年4月23日参照。</ref>
#*そういう例を、この書からはいくらでも'''拾い'''出すことができる。([[w:中谷宇吉郎|中谷宇吉郎]]『救われた稀本』)〔1947年〕<ref>青空文庫(2017年11月24日作成)(底本:「中谷宇吉郎集 第五巻」岩波書店、2001年2月5日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/57306_63368.html 2018年4月23日参照。</ref>
#*[……]こうした厳しい文言は、私が言っているのではなくて、全て最近の新聞各紙の見出しや記事から'''拾った'''ものであり、とても残念な状況であります。([[w:青柳陽一郎|青柳陽一郎]]、第193回国会本会議)〔2017年〕<ref>「第193回国会 本会議 第15号(平成29年3月31日(金曜日)」衆議院ホームページ http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000119320170331015.htm 2018年4月23日参照。</ref>
#[[命]]や[[一生]]などを、[[ほとんど]][[しぬ|死ぬ]]ような状況から[[いきながらえる|生き長らえさせる]]。
#*単身、伊丹城へ入って、九死の中から一生を'''ひろって'''帰って来たようなこの苦心も――それは帰するところ誰のためか。([[w:吉川英治|吉川英治]]『新書太閤記』)〔1939年—1945年〕<ref>青空文庫(2015年9月1日作成、2015年11月16日修正)(底本:「新書太閤記(六)」吉川英治歴史時代文庫、講談社、2010年6月1日第20刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/56757_57471.html 2018年4月24日参照。</ref>
#*私は厠にいたため一命を'''拾った'''。([[w:原民喜|原民喜]]『夏の花』)〔1947年〕<ref>青空文庫(2005年6月28日作成)(底本:「夏の花・心願の国」新潮文庫、新潮社、2000年4月25日39刷改版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000293/files/4680_18529.html 2018年4月25日参照。</ref>
#*[……]再び見る祖国を涙の目で望んで、'''拾って'''きた命だから、これからは新しい日本の捨石になって小さな理想の実現に命を打ちこむのだ、などゝ亢奮している男もないではなかった。([[w:坂口安吾|坂口安吾]]『淪落の青春』)〔1948年〕<ref>青空文庫(2007年2月15日作成)(底本:「坂口安吾全集 06」筑摩書房、1998年7月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42812_26153.html 2018年4月24日参照。</ref>
#[[みち|道]]などを[[あるく|歩く]]。
#*水仙の一と株に花床が尽きて、低い階段を'''拾う'''と、そこが六畳の中二階である。([[w:鈴木三重吉|鈴木三重吉]]『千鳥』)〔1906年〕<ref>青空文庫(2005年10月27日作成)(底本:「日本文学全集18 鈴木三重吉 森田草平集」集英社、1969年9月12日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000107/files/1532_20039.html 2018年4月25日参照。</ref>
#*口をつぐんで、しばらく道を'''拾った'''。([[w:林不忘|林不忘]]『寛永相合傘』)〔1927年〕<ref>青空文庫(2002年12月3日作成、2008年3月28日修正)(底本:「一人三人全集2 時代小説丹下左膳」河出書房新社、1970年4月15日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000290/files/1809_7905.html 2018年4月25日参照。</ref>
#*前隊の列はもう一部分加茂の浅瀬を'''ひろって'''、対岸へ渡っていた。([[w:吉川英治|吉川英治]]『新書太閤記』)〔1939年—1945年〕<ref>青空文庫(2015年9月1日作成、2015年11月16日修正)(底本:「新書太閤記(六)」吉川英治歴史時代文庫、講談社、2010年6月1日第20刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/56757_57471.html 2018年4月24日参照。</ref>
#[[俳句]]を、[[ぶらぶら]]と[[あるく|歩き]]ながら[[示唆]]を[[える|得て]][[考え付く]]。
#*[……]その帰り道に二人は神仙体の俳句を作ろうなどと言って彼れ一句、これ一句、春風駘蕩たる野道をとぼとぼと歩きながら句を'''拾う'''のであった。([[w:高浜虚子|高浜虚子]]『漱石氏と私』)〔1917年〕<ref>青空文庫(2009年12月28日作成)(底本:「回想 子規・漱石」岩波文庫、岩波書店、2006年9月5日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001310/files/47741_37678.html 2018年4月26日参照。</ref>
#*[……]もう桜が蕾み、柳が芽吹いてゐる、ぶら/\歩いてゐるうちに、七句'''拾う'''た。([[w:種田山頭火|種田山頭火]]『其中日記』)〔1939年〕<ref>青空文庫(2010年7月11日作成、2011年1月17日修正)(底本:「山頭火全集 第九巻」春陽堂書店、1987年9月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000146/files/49783_39467.html 2018年4月26日参照。</ref>
#[[やしなう|養う]]ことを主に目的として、[[すてご|捨て子]]などの[[みより|身寄り]]のない人を[[つれる|連れ]]て[[いく|行く]]。
#*あれは豊干さんが松林の中から'''拾って'''帰られた捨て子でございます([[w:森鴎外|森鴎外]]『寒山拾得』)〔1916年〕<ref>青空文庫(2000年9月12日公開、2004年12月4日修正)(底本:「日本の文学3 森鴎外(二)」中央公論社、1967年2月4日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/1071_17107.html 2018年4月27日参照。</ref>
#*現に自分の子ともつかず、奉公人ともつかずに連れ歩いている崔英という十五、六歳の少女は、五、六年前に旅先で'''拾って'''来たのだそうで[……]([[w:岡本綺堂|岡本綺堂]]『女侠伝』)〔1927年〕<ref>青空文庫(2006年5月7日作成、2007年5月29日修正)(底本:「蜘蛛の夢」光文社文庫、光文社、1990年4月20日初版1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/45507_23152.html 2018年4月27日参照。</ref>
#*奥方さまのお慈愛から、市中の捨児や親のない孤児を'''拾う'''て、養ってやるお長屋でござります([[w:吉川英治|吉川英治]]『日本名婦伝』)〔1940年〕<ref>青空文庫(2014年8月7日作成)(底本:「剣の四君子・日本名婦伝」吉川英治文庫、講談社、1977年4月1日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/56494_54225.html 2018年4月27日参照。</ref>
#[[えがたい|得難い]]ものや[[価値]]あるものなどを、[[運]][[よく|良く]][[手に入れる]]。
#*当時、そのロシアに住んでいた者は、物心づいた子供から、老耄の一つ手前に達した年寄りまで、それぞれ一生の逸話を'''拾った'''。([[w:宮本百合子|宮本百合子]]『街』)〔1927年〕<ref>青空文庫(2002年9月25日作成)(底本:「宮本百合子全集 第三巻」新日本出版社、1986年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/1970_6868.html 2018年4月30日参照。</ref>
#*いつだったか彼はその夜店街で、素晴らしいタネを'''拾った'''経験があったので、今夜ももしやというはかない望みをつないでいたのだった。([[w:海野十三|海野十三]]『火葬国風景』)〔1935年〕<ref>青空文庫(2005年11月24日作成)(底本:「海野十三全集 第3巻 深夜の市長」三一書房、1988年6月30日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/3519_20565.html 2018年4月30日参照。</ref>
#*黒吉は、ゴクンと唾を飲んだ。と同時に、彼は思わぬ幸運を'''拾った'''。([[w:蘭郁二郎|蘭郁二郎]]『夢鬼』)〔1936年〕<ref>青空文庫(2010年7月31日作成、2011年1月19日修正)(底本:「火星の魔術師」国書刊行会、1993年7月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000325/files/2187_40112.html 2018年4月30日参照。</ref>
#[[マイクロホン]]が[[音声]]を[[うける|受け]]、[[記録]]や[[再生]]などの[[処理]]をする。
#*その音声を'''拾って'''、それがパソコンの画面上で日本語に変換をされるというソフトの試運転を見せていただいたんですけれども[……]([[w:小林千代美|小林千代美]]、第162回国会法務委員会)〔2005年〕<ref>「第162回国会 法務委員会 第4号(平成17年3月8日)」国会会議録検索システム http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/162/0004/16203080004004a.html 2018年5月1日参照。</ref>
#*今、みんながスマホを持っている、簡単にICレコーダーでいろいろな音声も'''拾える'''という時代の中で[……]([[w:世耕弘成|世耕弘成]]、第193回国会経済産業委員会)〔2017年〕<ref>「第193回国会 経済産業委員会 第8号(平成29年4月14日(金曜日))」衆議院ホームページ http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009819320170414008.htm 2018年5月1日参照。</ref>
#*例えば、館内放送のアナウンスの音声に埋め込んだトリガーとなる信号をスマートフォンのマイクで'''拾う'''ことで[……]([[w:小林史明|小林史明]]、第196回参議院総務委員会)〔2018年〕<ref>「第196回国会参議院 総務委員会議事録 第2号(平成30年3月20日 )」p. 8. 国会会議録検索システム http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/196/0002/19603200002002.pdf 2018年5月1日参照。</ref>
 
===={{conjug}}====
{{inf-ja||ワ|五|ひろ|う|ひろう}}
{{日本語五段活用|ひろ|う}}
 
====対義語====