「長蛇を逸する」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
初稿
(相違点なし)

2015年9月5日 (土) 12:10時点における版

日本語

成句

長蛇ちょうだいっする

  1. 狙っていた獲物機会を、あと一歩のところで取り逃がす

出典

頼山陽「題不識庵撃機山図(不識庵[1] 機山[2]を撃つの図に題す[3])」(『山陽詩鈔』所収、1812年)

【白文】
鞭聲肅肅夜過河
曉見千兵擁大牙
遺恨十年磨一劍
流星光底逸長蛇
【訓読文】
鞭声べんせい粛粛しゅくしゅく よる かは[4]わた
あかつき見る 千兵の大牙[5]するを
遺恨ゐこんなり 十年じふねん 一剣を磨き[6]
流星りうせい[7]光底くわうてい長蛇[8]を逸す
【現代語訳】
(馬に当てる)密やかに、(上杉謙信の軍は)夜中に千曲川を渡った。
夜明けが訪れ、(武田信玄の軍は)目の当たりにした。(謙信の)大軍が大将旗を掲げて突撃してくるさまを。
残念でならない。(信玄を斬るために)長年にわたって一振りの剣を磨き続けてきたというのに、
振り下ろした剣の光の下に、信玄を逃してしまうとは。

脚注

  1. 上杉謙信を指す。
  2. 武田信玄を指す。
  3. 川中島の合戦のうち、永禄4年(1561年)9月に行われた4度目の戦の様子を詠んだ詩。なお、この戦は史実ではないとされる。
  4. 千曲川ちくまがわの雨宮の渡し。現在の長野県更埴市
  5. 大将の居場所を示すために本陣に掲げる旗。
  6. 長期にわたって剣術の修行に励むこと。十年は概数。賈島かとうが詠んだ「剣客詩」の一節「十年磨一剣、霜刃未曾試(十年 一剣を磨き、霜刃 未だかつ試さず)」に基づく表現。
  7. 中国・三国時代におけるの初代皇帝・孫権が所有した宝剣6振りの1つ。『古今注』に、「呉に宝剣六つあり。(略)四に曰く流星」とある。振り下ろした剣の光るさまを流星に喩えた名。
  8. 残忍な者の喩え。ここでは、武田信玄を指す。