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「実は夏の季語、落葉は秋の季語」と誤った記述があったため(実が秋で落ち葉は夏。スギは落葉樹でないので夏に葉が生え変わる)、典拠を示し訂正し、語源を追加。
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「'''ス'''クスクと生える(育つ・立つ)'''木'''」からという。京都地名研究会事務局長の綱本逸雄によると、近世・江戸時代終わりの国学者である谷川士清(ことすが)が著した『和訓栞(わくんのしおり)』(1777年~1887年刊行)には言わく、「直(スク)に生ふるもの(注、直ぐ成長する)故に名とするよし」うんぬんとあり、寺島良安の『和漢三才図会』(1712年成立)にも言わく、「杉すぎ、サン 和名須木と言う、心は直(スク)経る(注、すぐ時が経つ=成長早い)の木也」うんぬんと、丸山林平の『上代語辞典』(明治書院、1967年刊行)にも言わく、「すくすくと立つ木の義」うんぬんとあるという。ほかに『大言海』(1932年~1935年刊行)にも言わく、「すぎ(杉榲) すくすくト生フル木、又、すくすくト立つ木ノ義、スギの木ト云フガ、成語ナ(ル)ベシ」うんぬんとあり、日本最大の国語辞典である『日本国語大辞典』(小学館)も「スクスク生える木の義。スギノ木が成語か」との旨を語源説の筆頭として挙げている。
 
ほかにも、幹が真っ直ぐ伸びることや 木の目が真っ直ぐなことなどから「'''す'''ぐ(直)な'''木'''」とする説も少なくない。だが綱本逸雄は、「スギ」という言端(ことば)は、「須木、須疑、須岐」などの漢字表記で、いにしえ(古代)に書かれた古事記(ふることぶみ)や日本書紀・万葉集(奈良の古言〔ふること〕)・風土記・木簡・古辞書あるいは平安文学などに既に登場しているにも係(かか)わらず、「中古(平安時代)までスグの訓よみはなく中世以降である。古辞書『類聚名義抄』(観智院本)には、当然ながら『直』の訓みにスグはなく、『タタチニ』である。『万葉集』も『直』は頻出するが、『直(ただ)に逢はば』(二二五)とか、『あたへ』『じき』『まな』などで、『スグ』の訓みはない(正宗敦夫編『萬葉集総索引漢字篇』平凡社)」などと挙げつらっている。江戸時代中期の国学の大成者である本居宣長も『古事記伝』において言わく、「須疑(すぎ)は、直木(スグキ)するはわろし、直(ナホ)をすぐと云こと古にあらず」とし、『増補俚言集覧』(早くとも1797年よりあと、遅くとも1829年より前に成立)も言わく、「直木とするはわろし直(ナホ)のスグと云ことすへ(末)にあらすと云へり」うんぬんと、江戸時代中期の国学者である鹿持雅澄も『万葉集古義品物解』において言わく、「直木(すぐき)の意とする説はあたらず」うんぬんと説いているという。
 
これらの事から綱本逸雄は言わく、「『すくすくと立つ木』が妥当な見解だろう。(『牧野新日本植物図鑑』北隆館、一九六七)。古代には『すくすく』(ずんずん、どんどんの意)という擬態語はあった。『古事記』応神条に『楽浪道(さざなみぢ)を須久須久(すくすく)と我が往(い)ませばや』と載る。スクの語源はスクヤカ(健)の意である(『日本国語大辞典』小学館)。『広辞苑』は『すくすく 滞りなく進む、勢いよく成長するさま』……という。つまり、二語の結びつきが固定し決まった意味を表す『スギの木』は、『すくすく生える木』から古人が作り、後人によく引用される成語になった。縮約してスギ(キ)といったのであろう」うんぬんと説き明かしている<ref>[http://www.m-sugi.com/100/m-sugi_100_tsunamoto.htm](綱本逸雄「月間杉 100号記念特別寄稿『杉の語源』 - 月刊杉」日本全国スギダラケ倶楽部 出版部). 2016年3月1日閲覧</ref>。