日本語 編集

名詞 編集

(ふくざつ)

  1. 容易理解説明処理解決ができないほど、事情絡み合っている状態。または、そのようなもの。
    • 若者の心には仕事も終りに近づいた老人にくらべて多くの生々しい複雑が隠されてゐることは仕方がないが、(坂口安吾「淫者山へ乗りこむ」)〔1935年〕[1]
    • それ程その出来事というのが重大で複雑を極めているのだ。(江戸川乱歩「悪霊」)〔1933年〕[2]

形容動詞 編集

(ふくざつ)

  1. 事情絡み合っていて容易理解説明処理解決などができないさま。
  2. さまざま心理感情が入り混じって単調でないさま。

活用 編集

類義語 編集

対義語 編集

複合語 編集

翻訳 編集

動詞 編集

する (ふくざつする)

  1. (自動詞) 容易理解説明処理解決ができないほど、事情絡み合う
    • 昆蟲筋肉頗ル多ク且ツ複雜シ、木蠹蛾ぼくとが幼蟲於テ約二千(或ハ四千トモ云フ)ヲ數フト云フ。(三宅恒方 『昆蟲學汎論 上巻』)
    • ところが鯉坂君の頭脳は、明晰という言葉で形容するには、あまりにも複雑して居るように思われます。(小酒井不木「新案探偵法」)〔1926年〕[3]
    • 「だんだん複雑してくるね。」「何が?」「何がって……おたかの周囲がさ。」(豊島与志雄「球突場の一隅」)〔1916年〕[4]

活用 編集


編集

  1. 青空文庫(2010年5月19日作成、2011年5月20日修正)(底本:「坂口安吾全集 01」筑摩書房、1999年5月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45826_39315.html 2020年3月21日参照。
  2. 青空文庫(2019年9月27日作成)(底本:「江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪」光文社文庫、光文社、2004年6月20日初版1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57515_69340.html 2020年3月21日参照。
  3. 青空文庫(2010年5月20日作成、2011年2月23日修正)(底本:「怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線」ちくま文庫、筑摩書房、2002年2月6日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000262/files/48073_39326.html 2020年3月21日参照。
  4. 青空文庫(2008年10月19日作成)(底本:「豊島与志雄著作集 第一巻(小説1)」未来社、1967年6月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42392_32971.html 2020年3月21日参照。