日本語 編集

名詞 編集

(いろがみ 又は しきし)

  1. (いろがみ[1]のついた紙。ただし白色をふくむ。染紙
    • 七夕には五色のいろ紙に書いて笹竹に下げる。これは普通の色紙しきしでなく、その時節にかぎって市中の紙屋で売っている薄い短尺たんざく型のやすい紙きれであるが、この時にも大きい子供はほんとうの色紙や短尺に書くのもある。(岡本綺堂半七捕物帳 半七先生』)〔1917-1937ごろ〕[2] (いろ紙も漢字で書けば色紙とするところであるが、表記と読みを分けることにより意味を語義4と区別している)
  2. (いろがみ)おりがみ→Wikipediaなどに用いる正方形の色つき紙。
    • 二郎じろうは、自分じぶんつくえのひきだしのなかに、色紙いろがみと、はさみとをっていました。(小川未明「跛のお馬」)〔1922年〕[3]
  3. (しきし)種々の色がついた料紙→wpw:和紙#平安時代の紙文化を参照。
    • 白き色紙、青き表紙、黄なる玉の軸なり。(紫式部源氏物語」)〔1008年〕[4]
    • 宗達色紙のすべてには金が用いられ、銀、緑背、群背、胡粉等の顔料が使用され、濃い色彩に彩られた色紙は、「装飾的」という言葉にふさわしい。(泉紀子「色紙の中の伊勢物語―《宗達伊勢物語図色紙》の表現―」)〔2017年〕[5]
    • 8巻からなる国の重要文化財「法華経(ほけきょう)(色紙経(しきしきょう))」(平安時代、12世紀)は、色染めされた紙の表裏に金箔(きんぱく)や銀箔が細かくちりばめられた経典。(根本晃「奈良)修理終えた文化財9件展示 奈良国立博物館」)〔2019年〕[6]
  4. (しきし)書画用の正方形の厚紙
    • 世にはまた色紙しきし短冊たんざくのたぐいに揮毫きごうを求める好事家があるが、その人たちがことごとく書画を愛するものとは言われない。(永井荷風「葛飾土産」)〔1947年〕[7]
    • 七夕には五色のいろ紙に書いて笹竹に下げる。これは普通の色紙しきしでなく、その時節にかぎって市中の紙屋で売っている薄い短尺たんざく型のやすい紙きれであるが、この時にも大きい子供はほんとうの色紙や短尺に書くのもある。(岡本綺堂半七捕物帳 半七先生』)〔1917-1937ごろ〕[2] (語義1参照)

発音(?) 編集

い↗ろ↘がみ
し↗きし

脚注・出典 編集

  1. 「しきし」の読みでもこちらの意味があるとしている辞書もある(精選版 日本国語大辞典.“色紙”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2023年2月9日閲覧。 )が、坂本充「同じ熟語で音読み・訓読み」, 放送研究と調査 2009年1月号, https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/kotobax3/pdf/044.pdf では、「「色紙」「人気」などは,まったく別の意味。」という形で意味に被りがない扱いがされているなど、こちらの意味で「しきし」の読みは稀であると考えられる。
  2. 2.0 2.1 岡本綺堂 (1917-1937ごろ)『半七捕物帳 半七先生』, 底本:「時代推理小説 半七捕物帳(三)」光文社文庫、光文社, 1986(昭和61)年5月20日初版1刷発行, 青空文庫, https://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/1118_15012.html
  3. 小川未明 (1922)「跛のお馬」, 初出:『童話』1922(大正11)年5月, 青空文庫, https://www.aozora.gr.jp/cards/001475/files/51068_53365.html
  4. 紫式部 (1008)「源氏物語」, 17 絵合, http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/text17.html
  5. 泉紀子 (2017)「色紙の中の伊勢物語―《宗達伊勢物語図色紙》の表現―」, 1ページ, 『百舌鳥国文』, vol.28, pp.1-16, 2017-03-25, 大阪府立大学日本言語文化学会, http://doi.org/10.24729/00016668
  6. 根本晃 (2019)「奈良)修理終えた文化財9件展示 奈良国立博物館」, 2019年1月10日, 朝日新聞デジタル, https://www.asahi.com/articles/ASM1741FKM17POMB003.html, 2023年2月9日閲覧。
  7. 永井荷風 (1947)「葛飾土産」, 底本の親本:「荷風隨筆 五」岩波書店 1982(昭和57)年3月17日第1刷発行, 青空文庫, https://www.aozora.gr.jp/cards/001341/files/49636_69858.html