表する (ひょうする)
- (他動詞, 文章語) 態度や言葉に表す。
- 1918年、菊池寛「志賀直哉氏の作品」[1]
- 最後にちょっと言っておくが、自分はこの文章を、志賀氏の作品に対する敬愛の意を表するためにのみ書いたのである。
- 1937年、江戸川乱歩「悪魔の紋章」[2]
- その階下の八畳の座敷に、中村氏の部下の刑事が胡坐をかいていて、その前に六十歳程の小柄な老婆がかしこまっていた。博士が入って行くと、刑事は丁寧に目礼して、有名な民間探偵に敬意を表した。
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 |
表しない |
未然形 + ない |
否定 |
表せず |
未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 |
表される |
未然形 + れる |
丁寧 |
表します |
連用形 + ます |
過去・完了・状態 |
表した |
連用形 + た |
言い切り |
表する |
終止形のみ |
名詞化 |
表すること |
連体形 + こと |
仮定条件 |
表すれば |
仮定形 + ば |
命令 |
表せよ 表しろ |
命令形のみ |
- 遂行動詞の一種で、気持ちを表す語句を目的語に取った言い切り文を発話あるいは記述することによって、発話者あるいは記述者がその気持ちをそこで表したことになる。遂行動詞としての使い方であることを強調する場合は「ここに」などの語句を添える。
- 1921年、喜田貞吉「炭焼長者譚」[3]
- この筆初めに当って、自分のこの小編が柳田君の読物から思い出して執筆するに至ったことにつき、ここに深厚の敬意を同君に表する。
- 1938年、中谷宇吉郎「雪」[4]
- また雪華の研究史については、加納一郎氏著『氷と雪』に拠るところが多かった。併せて感謝の意を表する次第である。