鸚 鵡 返 し(鸚鵡・返し おうむがえし)
- 和歌の語。人の言いかけた歌の語を、いささか変えて返歌すること。鸚鵡が人の言葉をまねることに例えていう。
- あしびきの山の雫に、妹待つと、われ立ち濡れぬ。山の雫に(大津皇子――万葉巻二)
- 我を待つと 君が濡れけむ あしびきの山の雫にならましものを(石川郎女――万葉巻二)
- 此唱和は、鸚鵡返しの無技巧と、別方法で、同じ効果を収めてゐる。(折口信夫 『女房文学から隠者文学へ 後期王朝文学史』)
- 他人からの問いかけに、応えないまま、問いかけ返すこと。
- 叔母が茶の間にぼんやり坐っていました。私はその顔を見て喫驚しました。
- 「どうなすったんです!」
- 「どうって……あなたこそ。」と叔母は鸚鵡返しに云いました。(豊島与志雄 『影』)
- 酒席の語。人の注いだ杯を、少し飲んで直ぐに返すこと。