あずさ

日本語

名詞

あずさ【梓】（歴史的仮名遣い: あづさ）

1. 特定の樹木の名。
   1. カバノキ科の落葉高木。
      1. カバノキ属の落葉高木。
         1. ミズメ ^(wp)（Betula grossa; シノニム: B. ulmifolia）。この木から弓が作られた。
         2. 〔岩手県上閉伊・埼玉県秩父方言〕オノオレカンバ ^(wp)（Betula schmidtii）。
      2. 〔宮城・山形県北村山方言〕アサダ ^(wp)（Ostrya japonica）。
   2. ノウゼンカズラ科の落葉高木であるキササゲ ^(wp)（Catalpa ovata）。牧野富太郎は「梓」の字からこの種を指して「あずさ」の訓があてられたのは本来的には誤用であるという旨を述べており、「梓」は本来はトウキササゲ ^(wp)（Catalpa bungei）を指すものであったとしている。ただし現代中国語においてはキササゲが梓 (zǐ)で、トウキササゲは楸 (qiū)とされている。
   3. トウダイグサ科 ^(wp)の落葉高木であるアカメガシワ ^(wp)（Mallotus japonicus）。この種に関しても牧野は「梓」の字からこの種を指して「あずさ」の訓があてられたのは本来的には誤用であるとしている。
   4. バラ科 ^(wp)の木本。
      1. 〔鹿児島方言〕スモモ属の常緑高木であるリンボク（Prunus spinulosa）。
      2. 〔長野県北佐久方言〕落葉高木であるナナカマド（Sorbus commixta）。
   5. 〔静岡県南伊豆方言〕ニシキギ ^(wp)（Euonymus alatus）。
2. あづさゆみを参照。
3. 版木 ^(wp)。

発音

• (東京式) あ​ずさ [áꜜzùsà] (頭高型 – [1])
• (東京式) あずさ [àzúsá] (平板型 – [0])
• IPA^(?): [a̠zɨᵝsa̠]

語源

〈版木〉の意味は中国において「梓」の材から作られていたことに由来する。中国における「梓」はノウゼンカズラ科キササゲ属の木本である。

類義語

〈ミズメ〉

• ヨグソミネバリ;〔以下、「アヅサ」の転訛により生じた語〕ハヅサ、ハンサ

派生語

• 梓巫女、アズサミネバリ、梓弓

成句

• 梓に鏤（ちりば）める、梓に上（のぼ）す