つまはじき【爪弾(き)】
- 爪先を親指の腹にかけてはじくこと。古くは縁起の悪さを祓う仕草。
- 日ひと日風やまず。つまはじきしてねぬ。(『土佐日記』)
- 一日中風がやまず(都へ帰る船は停泊したままだった)。爪弾きをして寝た。
- 小君、御車の後にて、二条院におはしましぬ。ありさまのたまひて、「幼かりけり」とあはめたまひて、かの人の心を爪弾きをしつつ恨みたまふ。(『源氏物語・空蝉』)
- 小君(空蝉の弟)は、(光源氏の)牛車の後について、二条院にいらっしゃった。(源氏は、空蝉との)様子をお話になって、「(あなたの手配が)幼く稚拙であったなあ」と蔑みなさって、空蝉の心根を爪弾きをしながらお恨みになった。
- たやすいこと。
- 心に叶わぬ意、又は賤しみ嫌う意を示すこと。
- (語義3から転じて)排斥、嫌悪、また誹謗すること。
- 普通の人間が相互の交際において法律をふりまわせば必ずつまはじきをされる。なぜならば、その人は他人にとってきわめて交際しにくいからです。(末弘厳太郎 『役人の頭』)
- 二十歳のスティヴンスンは、気障のかたまり、厭味な無頼漢 、エディンバラ上流人士の爪弾き者だった。(中島敦 『光と風と夢』)