ようこそ
日本語
編集副詞
編集ようこそ
- 話し手・書き手が有り難く感じているさま。
- 「何を怒りましょう。ようこそはっきりおっしゃってくださるわね。あれはわたしもあとでほんとうにすまなかったと思いましたのよ。(...)」(有島武郎『或る女』)〔1919年〕[1]
- アア、有難う。ようこそ御承諾下さいました。では、私のそのもう一つの罪状を、これから御話することにします。(江戸川乱歩『双生児』)〔1924年〕[2]
- 三十五、六の武士が、旗二郎を相手に話している。「ようこそお助けくださいました。千万お礼を申します。(...)」(国枝史郎『怪しの館』)〔1927年〕[3]
- 「ようこそおいで下さいました。ただいま湯カゲンを見ましょう」「これは御隠居、いたみ入りますな」(坂口安吾『屋根裏の犯人』)〔1953年〕[4]
- 私が自然に草木が好きなために、私はどれ程利益を享けているか知れません。私は生来ようこそ草木が好きであってくれたとどんなに喜んでいるか分りません。(牧野富太郎『牧野富太郎自叙伝』)〔1956年〕[5]
用法
編集類義語
編集感動詞
編集ようこそ
- (挨拶) 相手の訪問に歓迎の気持ちを示す言葉。
- これは瀬川さま、ようこそと玄關に高き婢女が聲を、耳とく聞きて、膝にねふれる小猫をおろし、(...)(樋口一葉『花ごもり』)〔1894年〕[6]
- 数夫は折りふし、孜々として机の上に拡げた学位論文にペンを走らせていたが、課長の姿を認めると、ペンを留めて元気よく声をかけたのだった。「やあ、ようこそ、大江山さん」(海野十三『キド効果』)〔1933年〕[7]
- まさか悪意を持って、はるばるこんな田舎まで訪ねて来てくれる人もあるまい。私は知遇に報いなければならぬ。あがりたまえ、ようこそ、と言う。(太宰治『困惑の弁』)〔1940年〕[8]
- そのとき二階から大柄な二十四五の女がいそいで降りて来た。そして、「ようこそ、どうぞ」と玄関に膝をついた。(宮本百合子『二つの庭』)〔1947年〕[9]
翻訳
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いらっしゃいませ — 「いらっしゃいませ#翻訳」を参照のこと
註
編集- ↑ 青空文庫(2000年3月1日公開、2013年1月8日修正)(底本:「或る女 後編」岩波文庫、岩波書店、1998年11月16日第37刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000025/files/202_20066.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2016年9月9日作成)(底本:「江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者」光文社文庫、光文社、2012年8月15日7刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57187_60205.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2004年11月24日作成)(底本:「怪しの館 短編」国枝史郎伝奇文庫28、講談社、1976年11月12日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000255/files/43557_17041.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2010年5月19日作成、2011年5月19日修正)(底本:「坂口安吾全集 13」筑摩書房、1999年2月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45936_39308.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2014年1月18日作成)(底本:「牧野富太郎自叙伝」講談社学術文庫、講談社、2004年4月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/files/56695_52793.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2016年9月9日作成)(底本:「文學界 第十四號」文學界社雜誌社、1894年2月28日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000064/files/55663_60138.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2010年9月9日作成、2011年1月11日修正)(底本:「海野十三全集 第2巻 俘囚」三一書房、1991年2月28日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/46859_40604.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2003年9月4日作成、2016年7月12日修正)(底本:「太宰治全集10」ちくま文庫、筑摩書房、1989年6月27日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/18349_12214.html 2018年4月13日参照。
- ↑ 青空文庫(2002年6月25日作成、2003年6月29日修正)(底本:「宮本百合子全集 第六巻」新日本出版社、1986年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/2011_6885.html 2018年4月13日参照。