1. 古来から塔中に生きながら葬られたる幾千の罪人は皆舟からこの門まで護送されたのである。彼らが舟を捨ててひとたびこの門を通過するやいなや娑婆の太陽は再び彼らを照らさなかった。(夏目漱石『倫敦塔』)
    ただ問題となった学位論文が審査及第通過している以上、その論文がともかくも学術上なんらかの価値あるものであり、少なくも全然無価値ではなく、全部が誤謬ではないであろうということはほとんど疑う余地のないことであろうと思われる。(寺田寅彦『学位について』)
    この議会で図書館法が通過したことは、全図書館人にとって、まことに感慨深いものがあるのである。(中井正一 『図書館法楽屋話』)