前門の虎、後門の狼
日本語
編集成句
編集- ある危難を避けたところ別の危難に遭遇する状況のたとえ。
- 水平線が、とつぜんムクムクと起伏をはじめたかと思うと、みるみる、無数の流氷が「発見」号をおそってくる。船は、あちこちに転針してやっと遁れたが、じつに前門の虎去れば後門の狼のたとえか……極鯨吹きあげる潮柱のむこうに、ポツリと帆影のようなものを認めたのだ。(小栗虫太郎 『人外魔境 遊魂境』)
- ある難問・災難を解決・回避したとしても、別の難問・災難に直面することが明らかであり、危難を逃れるのが甚だ難しい状況のたとえ。
- 東も、北も、南も、みな白人の軍隊でかこまれてしまった日本。東には『荒鷲』爆撃機と『ライオン戦車』群、北には赤旗の大群、南には世界一の大海軍。昔の人が『前門の虎、後門の狼』とよんだのは、今の日本の戦略態勢(戦略上のありさま)だ。(平田晋策 『昭和遊撃隊』)
由来・語誌
編集「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む(又は「進ましむ」)」の略形。
- 初出は明代の学者趙弼『評史』中の句「諺曰、前門拒虎、後門進狼、此之謂与」とされる。
- 中国では李卓吾『史綱評要·周紀』中の句「前門拒虎、後門進狼、未知是禍是福」が初出と扱われている。
- 中国語において、「前門拒虎,後門進狼」はもっぱら「一難去ってまた一難」の意。
- なお、この句を起源とする成句「前虎後狼」は、朝鮮語においては「表は公明正大を装い、裏で陰謀を巡らす者」を意味する[1]。
関連語
編集翻訳
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