著作権のない文章 編集

著作権保護期間が切れておりパブリックドメインの状態にある文章、またはパブリックドメインと同等な利用ができることを著作者によって宣言されている文章は、著作権の制約を気にすることなく転載可能です。以下の一覧では、そのような文章のうち、特に用例の採取に使えそうなものを掲示しています。

ウィクショナリー日本語版では、少なくとも日本国著作権法と米国著作権法の二つに対して適法である必要があります。ウィクショナリー英語版などでは米国著作権法のフェアユースにもとづいて著作権保護下の文章からも多数の用例を転載していますが、日本国著作権法でも著作権保護下の文章から用例を転載しても適法であるためには、著作物として認めれないようなありふれた表現の短い一文を転載するか、32条1項で規定されている適切な引用として転載するか、どちらかを満たす必要があります。今のところ、用例としての転載が適法な引用として認めらえれるかどうかは不透明で、著作権保護下の文章から用例を転載することに関してウィクショナリー日本語版全体としてのコンセンサスはまだありません。また、著作物として認めれないかどうかの判断は込み入っていて神経を使います。毎回、熟考して判断しなければなりません。

以上のような事情を踏まえて、以下の一覧では、少なくとも日本国著作権法下でパブリックドメインの状態にある文章を示しています。厳密には戦時加算に注意する必要がありますが、米国著作権法の保護期間を満了している著作物は日本国著作権法下でも著作権切れの扱いとなります。

日本語 編集

e-Gov法令データ検索システム
日本の「憲法その他の法令」「国や行政機関が発する告示、訓令、通達」は、著作権法第13条により著作権の対象から最初に除かれます。著作権に配慮する必要が無いため、比較的新しい表現であっても引用に問題がありません。
裁判例情報
日本の裁判所の判決文・命令文も、日本国著作権法第13条により著作権の対象から除かれます。
労働委員会関係 命令・裁判例データベース
同上。
青空文庫
青空文庫からは近現代の日本語文学作品における用例を採取することができます。掲載されているほとんどの作品は日本の著作権保護期間を満了しているため、自由に転載できます。グーグルによって索引付されており、全文検索が可能です。掲載されている一部の作品はパブリックドメインではないことに注意ください。
神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 新聞記事文庫
新聞記事文庫からは近現代の日本語新聞記事における用例を採取することができます。『デジタル版新聞記事文庫について』によれば掲載されている記事はすべて昭和18年以前に書かれた署名なし記事のため、著作権の保護期間を満了しています。公式サイトの検索システムのほかグーグルによっても索引付されており、それぞれ全文検索が可能です。
国会議事録検索システム
国会議事録からは近現代の日本語議会発言の用例を採取することができます。国会議事録検索システムのFAQによれば、国会議事録に掲載されている発言の多くは著作権法第40条第1項の「政治上の演説」等であり、著作権者の許諾なく転載できることがほとんどです。ただし、政府職員や参考人としての立場での発言等は演説とみなされない場合もありますので注意してください。公式サイトの検索システムのほかグーグルによっても索引付されており、それぞれ全文検索が可能です。
国立国会図書館デジタルコレクション
掲載されている作品のうち著作権保護期間を満了しているものが多くあり、その場合は自由に転載・利用できます。全文検索ができます。著作権状態は作品によって異なるため、注意してください。「国立国会図書館ウェブサイトからのコンテンツの転載」によれば、公開範囲が「インターネット公開(保護期間満了)」となっている作品は著作権保護期間が満了しています。
帝国議会会議録検索システム
帝国議会会議録からは近現代の日本語議会発言の用例を採取することができます。国会議事録と同様、政治家の発言は著作権法に定められた「政治上の演説」にあたるため、著作権者の許諾なしに個々の発言を転載することができると考えられます。公式サイトで目次と索引の検索が可能です。本文は大部分は画像で、全文検索ができません。

英語 編集

Project Gutenberg
Project Gutenbergは米国著作権保護期間を満了した文学作品を掲載している電子図書館サイトです。グーグルによっても索引付されており、全文検索が可能です。
Internet Archive
Internet ArchiveはWayback Machineで知られているようにウェブサイトのアーカイブを構築しているサイトですが、米国著作権保護期間を満了している著作物もアーカイブしています。"FULL TEXT"としてテキストデータ化されているものもあります。その他、pdfやePubでダウンロードできます。
Miller Center
バージニア大学のMiller Centerでは、歴代米国大統領の演説を公開しています。米国大統領の演説は、米国著作権法下では第105条によりパブリックドメインとなり、日本国著作権法下では第40条により無許可の転載が可能です。
Voice of America
Voice of America (VOA)は米国国際開発庁の国際放送局で、テレビやラジオに加えてウェブサイトでもニュースを配信しています。VOAから提供されるコンテンツはパブリックドメインで公開されています(Terms of Use And Privacy Notice)。これが適用されるのはVOAが独占的(exclusively)に著作権を所有する提供物だけなので、AP通信などが提供している記事は避けた方がいいでしょう。
VOA Learning English
VOAが提供する英語学習サイトで、上記に同じくパブリックドメインで公開されています(Terms of Use And Privacy Notice)。

CC BYライセンスまたは同等利用条件の文章 編集

クリエイティブコモンズライセンスでライセンスされている文章は、いくつかの利用条件の中で無断での転載が可能です。その中でもクリエイティブコモンズ表示ライセンス(以下CC BY)で利用が許可されているものは、用例として転載するだけであれば、一般的な引用のルールとほとんど同じように利用できます。

異なるのは、著作物のクレジット表示に加えて、その著作物がCC BYで公開されていることを付記し、ライセンスへのハイパーリンクを提供する必要がある点です(CC BY 4.0第3条a.1.CCC BY 2.1 JP第5条b)。その記載方法は「合理的であればどのような方法」でも構わないとされています。具体的には、CC BY 4.0であれば「CC BY 4.0 で公開([https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja CC BY 4.0] で公開)」といった文言を、クレジット表示の後に記載または注釈をつけるなどの方法が考えられます。

以下の一覧では、CC BYライセンスで公開されている文章、またはCC BYと同等かそれ以下の制約のライセンスで公開されている文章のうち、特に用例の採取に使えそうなものを掲示しています。

日本語 編集

日本の各府省のウェブサイト
日本の各府省のウェブサイトは、政府標準利用規約第2.0版にもとづいて利用可能です。この利用規約では、転載する限りであれば、必要なのは出典情報の記載だけです。ウェブサイトが政府標準利用規約で実際に公開されているかどうかは、それぞれのサイトポリシーで確認してください。首相官邸ホームページ検索から条件を指定して全省庁サイトを串刺し検索できます(検索でヒットするサイト全てが政府標準利用規約で公開されているわけではないことに注意してください)。
青空文庫
青空文庫は基本的には日本の著作権保護期間を満了している作品を掲載していますが、パブリックドメインとなっている外国の著作物をボランティアの方が翻訳した作品と、著作権保護期間だが著作者の意思で掲載している作品も存在しています。そのような作品はパブリックドメインではなく、あるライセンス下で公開されています。これらの作品については、個別に利用条件を確認してください。例えば、[1][2] はCC BY 2.1 で利用可能です。
J-STAGE
オープンアクセスの電子ジャーナルプラットフォームであるJ-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)では、日本から発表される多くのジャーナル・学術論文が公開されています。それらの内、いくつのジャーナルでは CC BY ライセンスで公開されており、当該ライセンスに絞って全文検索できます。具体的に何のライセンスで公開されているかは、各論文記事の書誌ウェブページに示されています。
国立極地研究所学術情報リポジトリ
国立極地研究所が公開しているオープンアクセス論文のリポジトリで、2019年以降は原則的にCC BY 4.0で公開する方針が取られています(国立極地研究所オープンアクセス方針について)。
J-STAGEニュース
国立研究開発法人科学技術振興機構が発行するJ-STAGE機関紙。No.40以降が CC BY で利用可能です。

英語 編集

Scientific Reports
Nature Researchが出版する学術雑誌で、分野は自然科学全般を取り扱っています。全ての論文がCC BY 4.0で公開されています(Editorial and publishing policies)。現代の学術雑誌は国際化が進み様々な国から論文が投稿されますが、用例としては母語話者の表現から採取するのが最も理想的であることを留意ください。
GOV.UK
英国政府のポータルサイト「GOV.UK」のコンテンツはOpen Government Licence v3.0で公開されており、商用・非商用を問わない複製や翻案が可能です(Terms and conditions)。利用上必要なことは出典情報の記載だけです。グーグルによっても索引付されており、全文検索が可能です。

その他 編集