日本語

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副詞

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すべからく須く須らく

  1. (義務の意味の動詞と呼応して)必ず。是非とも。
    • 人間世界を通じて行われる愛の法則の第一条にはこうあるそうだ。――自己の利益になる間は、すべからく人を愛すべし。――人間の取り扱が俄然豹変したので、いくら痒ゆくても人力を利用する事は出来ん。だから第二の方法によって松皮摩擦法をやるよりほかに分別はない。(夏目漱石吾輩は猫である』)
  2. (語義1の転義で、義務以外の述語とともに用いられ、しばしば誤用とされる。)のがれることなく。必ず実行・実現しなくてはならないことは。
    • 確かに閣僚人事につきましては、これはすべからく任命権者である私にその責任があるということは十分私も承知をしております。 (森喜朗、 第150回国会 国家基本政策委員会合同審査会 第2号)〔2000年〕
    • 昔から、女性すべからく太陽だと思ってまいりました私にとりましては、矛先が鈍らないように、ちょっときょうは頑張らせていただければ、そんなふうに思っております。 (伴野豊、衆議院会議録情報 第159回国会 環境委員会 第7号)〔2004年〕
  3. (通常、誤用とされる)すべて。ことごとく
    • 私は、一つの雑誌、一つの週刊誌、いろいろなところで取り上げられたことをこの貴重な時間の中ですべからく説明することはいささか気が引けるわけでございますけれども、 (小渕恵三、 第147回国会 国家基本政策委員会合同審査会 第1号)〔2000年〕
    • なお、今後、いわゆる高度経済成長期につくられたこうしたインフラに関しましては、すべからく更新時期が到来してまいります。 (馬淵澄夫、 第174回国会 国土交通委員会 第9号)〔2010年〕

語源

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古典日本語 すべからく

サ変動詞「す」の終止形「す」+義務・当然の助動詞「べし」の未然形「べから」+準体助詞「く」。又は、サ変動詞終止形「す」+義務・当然の助動詞「べし」の連体形「べかる」+体言を形成する接尾辞「あく」。(大野晋

漢文の訓読再読文字)から生まれた語。「すべからく~べし」と、末尾に必ず「べし」を付けた。現代では、連体形の「べき」で言い切ったり、あるいは「~せねばならない」などと続く場合がある。

翻訳

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古典日本語

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副詞

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すべからく須く

  1. すべからく当然必ず
    • 行楽須く春に及ぶべし。(行楽須及春 李白『月下独酌』)
      行楽は是非とも春になってから行うべきである。
    • 徳をつかむとおもはば、すべからくまづその心づかひを修行すべし。(吉田兼好『徒然草』)

諸言語への影響

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