とや【鳥屋、塒、(鶏の場合の当て字):鶏舎、鶏屋】
- 鳥類を飼うための小屋、鳥小屋。特に鷹を飼う小屋。
- すると、ふいに、鳥屋のなかで、一羽の鵞鳥がけたゝましく鳴いたかと思ふと、たくさんの鵞鳥がいちどに、があがあ鳴きだしました。(豊島与志雄 『エミリアンの旅』)
- 室へ帰る時、二階へ通う梯子段の下の土間を通ったら、鳥屋の中で鷄がカサコソとまだ寝付かれぬらしく、ククーと淋しげに鳴いていた。(寺田寅彦 『嵐』)
- 猫は、彼等が寝た後まで土間や、床の下やでうろ/\していた。追っても追っても外へ出て行かなかった。これでも屋内の方が暖いらしい。……大方眠りつこうとしていると、不意に土間の隅に設けてある鶏舎のミノルカがコツコツコと騒ぎだした。(黒島傳治『老夫婦』)
- (語義1に籠もることから)鷹の羽が冬から夏にかけ生え変わること、鷹の年齢表示にも用いる。
- (語義2から)遊女が梅毒で毛が抜け落ちる様。梅毒。
- 歌舞伎の舞台で花道前の控えの小部屋。
- 鳥を捕らえるために人がこもる小屋。
- ちょうど鳥屋のさかりのころで、木曾名物の小鳥でも焼こうと言ってくれるのもそこの主人だ。(島崎藤村『夜明け前』)
とや(内容・引用の格助詞「と」+反語の係助詞「や」)
- ~とでも言うのであろうか。