なにもの
日本語
編集名詞
編集なにもの【何者】
- 疑問文において、よくわかっていないひとや集団などをさしていう語。
- そこにいるのは何者だ。
- 否定文において、どのような人や物でもないことを表す語。
- 七兵衛もこうなると、好々人の、百姓親爺のほかの何者でもありません。(中里介山「大菩薩峠 めいろの巻」)
- 「何じゃ、何者じゃ、そのほうは?」/「何者でもねえ、この斑鳩嶽に、その人ありと知られた雨龍の一族、洞門の権右衛門だ。(吉川英治「剣難女難」)
- 今時の映画と来たら、単なる機械製産品以外の何者でもあり得ない。(渡辺温「十年後の映画界」)
- 反語文、否定文において、どれほどのものでもない、とるにたりない、といったニュアンスを表す語。
- 英國何者そ、獨逸何者そ、佛國何者そ、露國米國何者そ、苟も雄を宇内に爭ふ者は、一として此元氣の勃興發動底止する所を知らさるに非すや。(押川春浪「海島冐檢奇譚 海底軍艦」に寄せた肝付兼行による序)
- 山内にとって石黒は何者でもない。格別恐れなければならないわけはなかった。(久生十蘭「ノア」)
- 「か」を後置して、不定の人物をさしていう語。
- 何者かに盗まれた。
- 「か」を後置して、特別な人物をさしていう語。
- あなた様にとつて何者でもないものが、お嬢様方にとつて、何者かであることは、ほんたうにむつかしうございます。(岸田國士「荒天吉日」)
- 「も」や、譲歩を意味する「しても」「しようと」などと共起して、あらゆる人。すべての人。
- 何者も従わざるを得ない。
- 何者がやってこようと受けて立つつもりだ。