一寸の虫にも五分の魂(いっすんのむしにもごぶのたましい)
- どんなに小さく弱い者でも、それ相応の意地や感情があり侮ってはいけない。
- 作家は、(略)どんな力で、我血の流れる負傷のあとを調べ、そのように人情以上の力がわが人情を破壊したいきさつを摂取し、その経験によってなお強く人生を愛しつつ社会の現実を描破し得るであろう。(略)長いものには巻かれろ、という諺は徳川時代の平民の境遇から発生した意味ふかい言葉である。一寸の虫にも五分の魂、という言葉も、等しくこれらの描写をもたぬ市民の心から産まれている。(宮本百合子 『パァル・バックの作風その他』)