耽溺(たんでき)
- ある不健全な娯楽にふけって、日常生活などをないがしろにする事
- 人の気苦労も知らぬげに、世の憂鬱を一人占めにしたかのやうな思ひ入れも憎かつたし、実は欲望にすぎないものを身勝手な手数をかけて深刻めかし、連夜の耽溺がはじまつてからは、松江の屡々思ふことはたゞ復讐といふことだつた。(坂口安吾 『老嫗面』)
- 息子の外にもう一つ、彼は一種の棄鉢な情熱の吐け口を鬪鶏戲に見出してゐた。射倖心や嗜虐性の滿足を求める以外に、逞しい雄鶏の姿への美的な耽溺でもある。餘り裕かでない生活(くらし)の中から莫大な費用を割いて、堂々たる鶏舍を連ね、美しく強い鶏共を養つてゐた。(中島敦 『盈虚』)
名詞
動詞