えぐい【刳(蘞、醶)い】
- あくが強く、のどがいがいがする。育ったたけのこの味。
- 筍といういたずらものがある。春になると、土鼠のように、土のなかから産毛だらけの頭を持出して来る奴だが、このいたずらもののなかには、えぐい味のがあって、そんなのはどうかすると、食べた人に世の中を味気なく思わせるものだ。(薄田泣菫『艸木虫魚』)
- あくが強い、洗練されていない。
- 「えぐいところ」の有無の問題。覚えているというより、思い出しました。文学上のそういうものは、非常に複雑であって、なかなか意味ふかくあるし、云われている通り綜合的な強靭性から生じることです。「えぐさ」は、世俗には清澄性と反対にだけ云われるけれども、芸術の場合は清澄そのものに一通りならぬえぐさが根本になければならぬところに妙味があります。(宮本百合子『獄中への手紙 一九三九年(昭和十四年)』)
- つめたい、ひどい、あくどい。嫌悪感を催させるほど卑劣であるさま。
- 二十日の朝、屠殺場の皮剥ぎのようなえぐい顔をした私服の憲兵がブラリとクラブへやってきて、もっともらしい顔で花壇の間を歩きまわっていたが、めずらしい花ばかりで名がわからないから参考のためにおしえてくれといった。(久生十蘭『だいこん』)
語幹 |
未然形 |
連用形 |
終止形 |
連体形 |
仮定形 |
命令形 |
活用型
|
えぐ |
かろ |
かっ く |
い |
い |
けれ |
○ |
口語
|