としごろ
日本語
編集発音
編集- 語義4
名詞
編集- 大体の年齢。
- 同じ引揚船で苦樂をともにして戻つて來た仲間のうちに、滿鐵の社員で、年配も隆吉と同じ年頃の河邊亮太郎と云ふ男がゐた。(林芙美子『崩浪亭主人』)
- (主に女性の)成熟しつつある年齢、また結婚して差し支えないほどに成熟したばかりの年齢。おおよそ思春期から若年成人期のあいだ。
- やんちや盛りの、何かことあれかしと、いつも何事かまちかまへて居るやうな女学生の――それがまして、四年生頃の十六七を揃へて何処かにヱロチシズムなおもくるしさを交へながらのやんちやは、どうもたまらなく或る、不快と快感をごつちやに、若い男の先生などに与へると見えまして、その溝口先生も(中略)声もほそぼそと、歴史といふ遠い昔の夢をロマンチツクにおどおどと語る――ただ、すこしほんのすこしではあるけれども、見栄坊に気どつて年頃の女生徒への多少の対感意識はあつたやうでした。(岡本かの子『ある男の死』)
- ある物事にふさわしい年齢。
- 伝蔵は、仕事盛りの年頃には小胆で、これといふ大きなことはしなかつたから、大きな失敗もなかつたが、(略)(坂口安吾『波子』)
- ここ数年の間。
- こういう時に、せめて費用の半分でも、津田が進んで受け持つ事ができたなら、年頃彼の世話をしてきた藤井夫婦にとっては定めし満足な報酬であったろう。(夏目漱石『明暗』)