まろ【麻呂、麿】
- 近世以前の日本において、公家などの男子の幼名としてつけられた名前の全部又は一部。
- 近世以前の自称。
- 筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに(伊勢物語第23段)
- 井戸の縁の高さにも足りなかった自分の背丈が伸びて縁をこしたようですよ、貴女を見ない間に
- 牛若丸などの「丸」と同源。「丸」は現在でも船名に残る。
- さらにその語源は、「排泄・排便をする」を意味する「まる・ばる」とする説が有力である。これは、可愛い幼子に、わざと汚い名をつけ、魔物に魅入られないようにとの呪術的意味合いによるとされる(『和句解』・『続無名抄』)。
- 大阪府立大学大杉徹教授がTVで解説したため広まったが、おまる(御虎子)の字と本来の丸の語源(仄の鏡文字)から異なるとの意見もある。
- 『まる』は『まろ』の変化したもので『忠実であること』を意味する『ま』と助辞の『る』とからなる。「大槻〔文彦〕『言海』(一五〇版、一九○五年)
- 「大型の船舶に『まる』の名が用いられたのも、万里の波濤を越えて航海する傑出した性能への、親しみを込めた尊敬の念に由来することが明らかである」『南方熊楠英文論考〔ノーツ・アンド・クエリーズ〕誌篇』第Ⅲ章収録