昔昔 も参照。

日本語 編集

名詞・副詞 編集

むかしむかし

  1. はるかであることを強調する言葉
    • 昔々むかしむかしまをされるも、げん貴国きこく英吉利教会派イギリスけうくわいは加特力教会派カトリツクけうくわいはとの権力争闘けんりよくさうとうは、何時いつのことでござつたか。また伊太利イタリーける法王はうわうと、国民こくみんとの政権争せいけんあらそひは、何時いつのことでござつたか。――永井柳太郎戯曲 大隈重信』大日本雄弁会講談社、1932年11月、31頁。
    • お母さんが気づいて注意をされるには、あの家は昔々遠い祖先が分家をしたところで、お互に仲よく助け合ひ力にして、永の年月、幾代か過ぎて来た間柄であつた。――佐藤春夫「ますらを物語」『打出の小槌』書物展望社、1939年8月、10頁。
  2. 昔話物語冒頭につけられる言葉。昔々のこと。昔昔ある所に。
    • 昔々ある所にトヽとガヾとあり。娘を一人持てり。――柳田國男遠野物語』柳田國男、1910年6月、99頁。
    • 伝説は、童話や寓話に対して別個の価値と内容を所有するものである。即ち童話や寓話には、「昔々ある所に、何の某といふ男があつた」と漠然たる記述をなしても差支えないが、伝説にはそれが口碑である以上、人物、時代、所の三要素は明かに指示されるものである。――菊地秀男『労作主義読方教育』高踏社、1934年6月、34頁。
  3. (物語の冒頭に使われることから)御伽噺。昔話。
    • 御伽噺オトギバナシのことを昔々ムカシムカシと云ふ。ヤマハヽの話最も多くあり。ヤマハヽは山姥ヤマウバのことなるべし。――柳田國男遠野物語』柳田國男、1910年6月、98頁。
    • 即ち冒頭に必ずムカシといふ一語を用ゐて説き出す話を、人が其特徴に拠ってムカシ話、或は昔昔と名づけたのであつて、必ずしも其内容の古代であることを要しなかつたのである。――柳田國男昔話覚書』三省堂、1943年4月、3頁。
  4. 十年一昔から)20年。

関連語 編集

昔話冒頭言葉には、地域によって下記のような言い回しがある[1]

対義語 編集

出典 編集

  1. 武田明「昔話と伝説」『民俗から文学へ』弘文堂〈民俗文学講座 第2巻〉、1960年1月、137-138頁。