トーク:くろみがかる
最新のコメント:6 年前 | 投稿者:Ryota7906
本来は以下の文例のように「くろみがかつ(黒味が勝つ)」なのではないでしょうか。
- 一體ここらあたりの松の色は、地味のせゐでもあるか、どうやら餘所のに比べて少し黒味が勝つたやうに思はれる。直ぐ前方の西大寺村の森にしてからがさうで、つい先がた發つて來た秋篠の樹立にしても――振り返つて見ると、どうも黒味がかつて見える。(薄田泣菫『旋風』)
他の色についても同様だと思いますが、とりあえず証拠が見つかるものについて指摘しておきます。--Ryota7906 (トーク) 2018年11月29日 (木) 21:19 (UTC)
- 「くろみがかつ(黒味が勝つ)」という言葉はあるかもしれませんが、「くろみがかる(黒味掛かる)」自体は日本国語大辞典の見出し語としてあり、その中で「お累は半面紫色に黒み掛りました上(三遊亭円朝『真景累ケ淵』)」のように「り」をおくる例も引かれています。また、「かかる(掛かる)」を引くと「〔四〕作用の目標となる。また、影響力の大きい作用が及ぶ。(11)強制する力、重み、また色あいなどが加わる。」の語釈があり、その例として「まがひ八丈のきいろへくろみのかかりたる小そで(仮名垣魯文『安愚楽鍋』)」と「くろみのかかる」も挙げられています。その他の色でも「掛かった」の例を見つけましたから(勿体ないので)それは各々の記事に追加します。--Mtodo (トーク) 2018年11月30日 (金) 21:47 (UTC)
- なるほど納得しました。ご調査どうもありがとうございました。
- 「黒味が勝つ」は終止形の例が少ないこと、一般に省略されやすい助詞の「が」を省略した語例(「*黒味勝つ」「*黒味勝つた」など)が見られないこともあり、思うに「黒味勝ち」からの類推による当て字なのかもしれませんね(「黒味勝ち」自体も当て字っぽいですが)。他の色についても同様の事情かと思います。--Ryota7906 (トーク) 2018年12月1日 (土) 10:43 (UTC)
- 「黒味勝つた」という表現は見つけることができませんでしたが、「赤味勝つた」「赤味勝った」は見つかりました。
- No.2・・・・やゝ赤味勝つた褐色であるが薄いアミノ酸臭全く無いが,弱い納豆臭あり,旨昧殆どなく鹽辛い(村上英也ほか(1949)「醤油の化學醸造に關する究研(II)」p.74)
- ヌ 陽の脇が下に出る「火の粉」, 赤味勝った虹, 時化の二〜三日前出ること多い。(魚目, 似首)(宇田道隆(1947)「天氣豫報に利用できる海象要素の觀測」p.16)
- こういった表現は過去には確かに存在していたものの、現在ではほぼ廃れてしまったと考えるのが妥当かもしれません。確定的なことを述べるためにはさらなる調査が必要そうです。--Ryota7906 (トーク) 2018年12月2日 (日) 11:23 (UTC)