井の中の蛙
- (「井の中の蛙大海を知らず」より)世間知らず。
- 寒々した東北の漁村の趣は、それは当然の事で、決してとがむべきではないが、それでゐて、井の中の蛙が大海を知らないみたいな小さい妙な高慢を感じて閉口したのは私だけであらうか。(太宰治 『津軽』)
- 「ちかごろは田舎者の世間知らずめが威張りくさって甚だ面白くない。法神流なぞというのは山猿相手の田舎剣術だ。江戸は将軍家のお膝元。天下の剣客の雲集するところ。気のきいた名人上手が山猿などを相手にするはずはない。その理由をさとらず、井の中の蛙、大言壮語して田舎者をたぶらかすとは憎い奴だ。道場破りを致すから、用意するがよい」(坂口安吾 『花咲ける石』)