中

漢字

中

部首: 丨丨 + 3 画
総画: 4画4

異体字 : 𠁦（籀文）, 𠁧（古字）, 𠁩（古文）, 𠔈（同字）, 𠔗, 𡖌（俗字）
筆順 : :

字源

指事。縦線の中心部に印を加えたもの。「まんなか」を意味する漢語｛中 /*truŋ/｝を表す字。のち仮借して「あたる」を意味する漢語｛中 /*truŋ-s/｝に用いる。
- 下記甲骨文字や金文の「𠁩」は「中」に音符として一種の旗を象った象形文字（一説に「はた」を意味する漢語｛幢 /*drˤoŋ/｝を表す字）を加えたもので、「中」の字源と直接の関係はない。^{[字源 1]}

金文	甲骨文字	金文	金文	金文	簡帛文字	簡牘文字	古文	籀文	小篆	流伝の古文字

殷		西周	春秋時代	戦国時代			《説文》（漢）			《六書通》（明）

↑ 裘錫圭「説《盤庚》篇的“設中”——兼論甲骨、金文“中”的字形」『出土文献与伝世典籍的詮釈』線装書局、2019年、120-123頁。
葛亮「古字新識（23）――説“中”“外”」『書与画』2021年11期、48-50頁。

意義

なか。ものの内側。
まんなか。両端でない位置。
- 中央、中心、中庸
真ん中に来る。
- 南中
あたる。
- 命中、的中
（接尾辞的）～をしている所の。
- 最中、戦中、準備中、試験中

語源

明らかではないが、チェパン語 दुङ्‌ duŋ 、独竜語 ɑ³¹duŋ⁵⁵ （内側）等と同根の可能性がある^{[語源 1]}。

↑ Axel Schuessler, ABC Etymological Dictionary of old chinese, University of Hawaii Press, 2006, pp. 621.

日本語

教育漢字 (第1学年)

音	漢音: チュウ表内、ジュウ表内[ヂュウ] (連濁) 呉音: チュウ表内、ジュウ表内[ヂュウ] (連濁)
訓	訓読み: なか表内、うち、あた-る

名詞

【なか】物の内側。
【チュウ】大きいとも小さいとも言えない状態。
- 大中小
【チュウ】成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
- 地学の成績が中の下だ。
（※この「中の下」という用法は、「平均よりいくぶん劣っている」という意味合いを伴う。）
- 対義語：上（優れている状態）、下（劣っている状態）
【チュウ】大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
- 対義語 : 上（はじめの方の部分）、下（終わりの方の部分）

類義語

（語義1）うち
（語義2、3）普通

造語成分・略称

【チュウ】「中国」の略。

接尾辞

【チュウ】中学校。
【チュウ】動作や行為のただなかにあること。また語彙により、行為発生後の状態の継続やなんらかの行為のための準備期間にあることなども表す。
- 出演中。発生中。増加中。使用中。工事中。電話中。休憩中。おやすみ中。考え中。故障中。着席中。入荷中。
- 固定電話で通話中に携帯が鳴った。
【チュウ】その範囲のなか。
- 五人中三人が賛成した。
- 文章中から抜き出して答えよ。
【チュウ】（「A中のA」の形で）その範囲のなかで特にすぐれたもの、特異なもの。
- 名画中の名画（=きわめてすぐれた名画）
- 例外中の例外（=きわめてまれな例外）
【ジュウ】その範囲のすべて。
- 日本中。一年中。部屋中。
【ジュウ・チュウ】それが終わるまでのいつか。
- 今日中（きょうじゅう）に持っていきます。
- 本日中（ほんじつちゅう）にまいります。
- 今月中（こんげつちゅう）には仕上げたい。
- 今年中（ことしじゅう）に始めるつもりだ。
- 今年度中（こんねんどちゅう）にはできそうにない。

熟語

中国語

中 *

ローマ字表記
- 普通話
  - ピンイン : zhōng (zhong1), zhòng (zhong4)
  - ウェード式 : chung¹, chung⁴
  - 注音符号 : ㄓㄨㄥ
- 広東語
  - イェール式 : jung1, jung3
- 閩南語
  - POJ : tiong, tiòng
- 閩東語
  - 平話字 : dṳ̆ng
- 客家語
  - 白話字 : chung, chûng, tûng
- 呉語
  - ピンイン : tson1, tson3
- チワン語
  - ラテン文字 : cungh (cung33)

方位詞

～の中（に、で）。

熟語

zhōng

zhòng

朝鮮語

中 *

ハングル: 중
- 文化観光部2000年式: jung
- マッキューン＝ライシャワー式: chung
- イェール式: cwung
音訓読み: 가운데 중

名詞

中間、中等。
中（なか）、内（うち）。
(将棋) 端（はし）から二番目の線。

依存名詞

〜している最中、途中。
〜内部。

ベトナム語

中 *

ローマ字表記
- チュ・クォック・グー: trung

文字情報

中	U+4E2D, 中 CJK 統合漢字-4E2D

← 丬
[U+4E2C]

CJK統合漢字

丮 →
[U+4E2E]

文字コード (文字集合規格)
-	Unicode: U+4E2D
日	JIS X 0213/0208: 1面35区70点 [第1水準] (`Shift_JIS=0x9286`, `EUC-JP=0xC3E6`, `ISO-2022-JP=0x4366`) MJ文字図形: MJ006347
中	GB18030: `0xD6D0`
台	Big5: `0xA4A4` CNS 11643: 1面 `0x4463`
韓	KS X 1001: `0x7169`

四角号碼: 5000₆
倉頡入力法: 中 (L)

漢点字	六点漢字
⠱⠬	⠠⠝⠅

字典掲載
康熙字典	79ページ, 3文字目
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版)	73
新潮日本語漢字辞典 (2008)	61
角川大字源 (1992)	32
講談社新大字典 (1993)	84
大漢語林 (1992)	48
三星漢韓大辞典 (1988)	158ページ, 6文字目
漢語大字典 (1986-1989)	1巻, 28ページ, 10文字目

[1] 裘錫圭「説《盤庚》篇的“設中”——兼論甲骨、金文“中”的字形」『出土文献与伝世典籍的詮釈』線装書局、2019年、120-123頁。
葛亮「古字新識（23）――説“中”“外”」『書与画』2021年11期、48-50頁。

[2] Axel Schuessler, ABC Etymological Dictionary of old chinese, University of Hawaii Press, 2006, pp. 621.

[字源 1]

[語源 1]

		端母	透母	定母
一等	平声冬韻
	上声腫韻		-	-
	去声宋韻	-		-
	入声沃韻		-
		知母	徹母	澄母
二等	平声江韻
	上声講韻	-	-	-
	去声絳韻
	入声覺韻
		章母	昌母	常母
三等A	平声東韻			-
	上声董韻	-	-	-
	去声送韻			-
	入声屋韻			-
		知母	徹母	澄母
三等B	平声東韻	中衷忠𦬕	忡浺盅	沖种盅𦬕翀
	上声董韻	-	-	-
	去声送韻	中衷	-	仲𩿀
	入声屋韻

中

目次

漢字

字源

関連字

意義

語源

日本語

教育漢字 (第1学年)

名詞

類義語

造語成分・略称

接尾辞

熟語

中国語

方位詞

熟語

朝鮮語

名詞

依存名詞

ベトナム語

関連語

文字情報