付録:ポルトガル語の動詞

ポルトガル語の動詞には以下の法と時制がある。

また、分詞には現在分詞ジェロンディフ)と過去分詞がある。

規則動詞の活用

編集

規則動詞にはar動詞(第一変化動詞)、er動詞(第二変化動詞)、ir動詞(第三変化動詞)があり、それぞれ時制や人称によって以下のように活用する。なお、「あなた」を意味するvocêや「あなたたち」を意味するvocês二人称ではなく三人称として扱われる

なお、不規則動詞についてはカテゴリ:ポルトガル語 不規則動詞より各語彙の活用表を参照。

それぞれの法及び時制について

編集

直説法現在

編集

現在の事柄について「〜する」を意味する。

  • Eu gosto de música.
    私は音楽が好きです。
  • Nós trabalhamos num hospital.
    私達は病院で働く。
  • Ela bebe café.
    彼女はコーヒーを飲む。

なお、一つ目の例と二つ目の例は活用形から主語が明らかなのでそれぞれ"Gosto de música."、"Trabalhamos num hospital."と主語を省略することも可能である。

不完全過去

編集

「〜していた」と過去のある時点で継続していた事柄や「~したものだった」と習慣や状態、繰り返し起きた出来事を表す。

  • Antigamente eu sempre nadava.
    昔はいつも泳いでいた。
  • Não savia.
    知らなかった。

完全過去

編集

過去の行為を表し「〜した」を意味する。

過去完了

編集

過去のある時点よりも前に起こった事柄を表す。

  • Quando eu cheguei no hospital, ele já morrera.
    私が病院に着いた時には彼は既に亡くなっていた。

直説法未来

編集

「〜するであろう」と未来の漠然とした事柄や推量を表したり「〜するつもりである」と意思を表たりする。

  • Esse será importante.
    それは重要であろう。
  • Partirei de Japão amanhã.
    私は明日日本を出発するつもりです。

なお、意思を表す場合は「ir + 動詞の原形」の形で表現することが一般的で、2番目の文は"Vou partir de Japão amanhã."とも表現される。

過去未来・可能法

編集

過去の推量や「〜するであろうに」という事実に反することや実現可能性の低い事柄を表したり丁寧な依頼に用いる。

接続法現在

編集

仮想的な内容について希望や命令、疑い、感情などを表す。

  • Espero que eles vençam.
    彼らが勝つことを望んでいる。
  • Quero que você ouça esta canção.
    あなたにこの曲を聞いて欲しい。
  • Duvido que esse seja fato.
    それが事実かは疑わしい。

接続法過去

編集

過去の事象について希望や命令、疑い、感情などを表す。

接続法未来

編集

今後起こるであろう事象について「〜したならば〜する」を表す。

命令法

編集

「~しろ」と命令するのに用い、ブラジルポルトガル語では接続法現在形と同じ形となる。禁止を表す場合は動詞の前に「não」を付ける。

  • Para!
    やめろ
  • Não corra!
    走るな

不定法

編集

「〜すること」を表す。

  • Estudar português é interessante.
    ポルトガル語の勉強は面白い。
  • Quero beber café.
    コーヒーを飲みたい。

また、ポルトガル語では英語等で用いられるような非人称の不定詞の他、「○○が~すること」を表す人称不定詞も用いられる。

  • Comprei pães para nós comermos.
    私は、私達が食べるためにパンを買った。

分詞

編集

現在分詞

編集

現在分詞(ジェロンディフ)は動名詞ジェルンディウム)とも呼ばれる。変化はせず、不規則な形も無い。以下の用法がある。

  1. estarを伴って進行形を表す(ブラジルポルトガル語の場合)
    Estou cantando.
    私は歌っている。
    なお、イベリアポルトガル語の場合は「estar a (不定詞)」の形で"Estou a cantar."となる。
  2. irまたはvirを伴って「徐々に〜していく(してくる)」の意を表す。
  3. emを伴って「〜するとすぐに」の意を表す。
  4. 分詞構文を作り、「〜しながら」「〜した時」等の意を表す。
    Ela bebeu café comendo pão.
    彼女はパンを食べながらコーヒーを飲んだ。
    Chegando a casa, a chuva parou.
    家に着いた時、雨はやんだ。

過去分詞

編集

過去分詞には数(単数、複数)と性(男性、女性)の区別があり、以下の用法がある。

  1. serを伴って受け身を表す。「〇〇によって〜された」は過去分詞の後に「por 〇〇」を付けて表される。
    O português é falado no Brasil.
    ブラジルではポルトガル語が話されている。
    O café foi feito por ela.
    コーヒーは彼女によって作られた。
  2. terやhaverを伴って完了を表す。
    Nós temos viajado.
    私たちは旅行してきた。
    この時、上記の例のようにたとえ主語が複数形であっても過去分詞は常に単数形となる。
  3. 形容詞として用いる。
    Estou cansado.
    私は疲れている。