日本国が一所へ寄る(にっぽんこくがひとところへよる)
- 快楽の最高潮に達すること。性交時の絶頂(オーガズム)を表現する言葉。
- サテ色客に至りましても、金にほれました客でも、みつぶとんの上へ、さんごじゆの売ものを見ましたやうにすはり、きやつめが参りまして、屏風のはしを持ぐつと引よせ、今夜はいつそさむふおざんすねへといわれた所は、なるほど日本国が一ト所へよるやうだと、枕ぞうしにも見えましたが、さらさらむりとは存じませぬ、拙者なども、無金の一箱や二箱は遣りたい心地。――南陀伽紫蘭「舌講油通汚」『江戸時代文芸資料』第一(洒落本)、国書刊行会、1916年6月、198頁。
- 名を呼んでさへ日本国が一所へ寄るやうなに、顔見て是れがたまる物か、コレ御覧じませ、天狗の面を風呂敷に包んだやうでどうもならぬ。――近松半二「傾城阿波の鳴門」『名作浄瑠璃集』下、中山泰昌編、誠文堂〈近代日本文学大系 第9巻〉、1924年10月、482頁。
- 鳥花 それこそほんまに日本国が、一緒に寄るであらうぞいなア。――辰岡万作「けいせい青陽𪆐」『寛政期京坂時代狂言集』渥美清太郎編纂・校訂、春陽堂〈日本戯曲全集 第7巻〉、1930年9月、13頁。
- 六十余州の大小名の身代を受けこみて、日本国が一所へよるとは、よい事する時のやうな詞偽ならず。――上田秋成「世間妾形気」『上田秋成集』永井一孝校訂、有朋堂書店、1931年4月、173頁。
- 「アレサ、淫性さん、待つておくれ……これ……咽が乾くから口を吸はしておくれな、ホンニ枕絵の詞書に、日本中が一緒になると書いてあるがホンニ世界中が煮こゞりになつた様だヨ、アレサお前さん可愛いねえ……」――「世話情浮名横櫛」『女護島延喜入船』紫書房、1952年10月、66頁。
- 其よい心、何にたとへん、日本国が臍の下へ集る様になれば、かみつき、すいつきなどして。――江島其磧「おかさまに思出をさし枕」『魂胆色遊懐男』林美一解説・校訂、有光書房〈艶本江戸文学集成 第4巻〉、1968年9月、175頁。
- 日本国が身柱元へ寄る
- 日本国が一ト所へ寄る
- 日本国が壱所へ寄る
- 日本国が一緒になる
- 日本国が臍の下に集まる
- 日本国が寄る
- 日本中が一ト所へ寄る
- 日本中が一ト所唐天竺まで一緒になる
- 『故事・俗信 ことわざ大辞典』尚学図書編集、小学館、1982年2月、870頁。
- 『いろの辞典』小松奎文編著、文芸社、2002年6月、627頁。