日本語 編集

慣用句 編集

借りたい(ねこのてもかりたい)

  1. とても忙しく些細手伝いでも望まれるほどに人手不足していることのたとえ。
    • 1935年、山本周五郎「藪落し」[1]
      二年目の夏、田の草取りで猫の手も借りたい時分にお豊は男の子を生んだ。お産はきわめて軽かったが、ながいあいだ体に無理をしてきたので、その後の肥立ちが思うようにゆかなかった。
    • 1953年、坂口安吾「中庸」[2]
      太平洋に大戦起るという直前に、余は予備役に編入された。猫の手も借りたいほどの重大な時に当って予備に編入されるとは、よくよく無能と見込まれたものか。

語源 編集

近松門左衛門作の浄瑠璃『関八州繋馬』(享保9年1月15日初演)で初出とされる。

…是こんな人出來るぞや〳〵、上から下までお目出度と、猫の手もかりたい忙しさ、その泣顔はなんぞ氣色でもわるいか、御新造のお部屋の掃除おろそかに致すなと、お局の云付人にばかり骨おらせ、…

— 近松門左衛門『関八州繋馬』

明治23年に武蔵屋叢書閣から出版された翻刻本22頁より
原文では「か」は可の変体仮名で表記

類義語 編集

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  1. 青空文庫、2021年3月27日作成(底本:「山本周五郎全集第十八巻 須磨寺附近・城中の霜」新潮社、1983(昭和58)年6月25日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57759_73048.html
  2. 青空文庫、2010年2月5日作成(底本:「坂口安吾全集 14」筑摩書房、1999(平成11)年6月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42949_38172.html