良薬(は)口に苦し(江戸いろはがるたでは「れうやく口に苦し」として、「れ」の文字に当てるが、「良」の漢音の字音仮名遣いは「リャウ」)
- (効き目のある薬が苦いように)いさめる言葉は、非難されているように聞こえ、素直に聞くことはできないものである。しかし、反省しその言に従うことが結局自分のためになる。
- 「さあ、いいかね、これから思いきったところをズバズバ言うよ、腹あ立っちゃいけねえよ、良薬は口に苦しといってね、いい医者ほど苦い薬を飲ませるんだぜ。これから、遠慮なく、思ったところをズバズバ言うからね、苦いと思ったら、道庵は、さすがに医者だと思ってくんな――」(中里介山 『大菩薩峠 畜生谷の巻』)
『孔子家語・六本』
- (白文)孔子曰、良藥苦於口、而利於病。忠言逆於耳、而利於行。
- (訓読白文)孔子曰はく、良藥口に苦けれども、病に利あり。忠言耳に逆へども、行ふに利あり。
- (現代語)孔子が言った、「よい薬は飲むと苦いが、病を治す効力がある、忠言というものは、素直に聞けないが、役に立つものである。」
- 上方いろはがるた、尾張いろはがるた:連木で腹切る
- 幸田露伴『東西伊呂波短歌評釈』
- 腹は擂木を以て切るべきにあらず、能はざる事をば滑稽に云ひ取れるなり。良薬は口に苦けれど病をば癒すべし。これも東の諺の方宜しけれど、仮名違なるは是非なし。