虎の威を借る狐/𧭼𪑷
- 自らに権力・権威があるわけでもないのに、他人、特に仕えている者の威光を背景に権勢をふるう者のたとえ。
- 「……ざっくばらんに申しますから、お許し願いたいですが、……若松では、「民政党にあらずんば、人にあらず」――そんな言葉さえあって、そのために、どんなに市政が歪められているか、街の人たちが困っているか、……それは、いうまでもなく、吉田代議士の威力で、虎の威を借る狐の、……」「おれも、その狐の一匹というんじゃな?」(火野葦平 『花と龍』)
- 『戦国策・楚策一』の以下の故事より。
- 虎求百獣而食之、得狐。狐曰、「子無敢食我也。天帝使我長百獣。今子食我、是逆天帝命也。子以我為不信、吾為子先行。子随我後観。百獣之見我、而敢不走乎。」虎以為然。故遂与之行。獣見之皆走。虎不知獣畏己而走也。以為畏狐也。
- (意訳)虎が狐を食おうとした時、狐が「私は百獣の長として天帝から遣わされた者で、私を食うことは天帝に背くことになる。嘘だと思ったら、私の後からついて来い。みんな、私を見て逃げるだろう」、虎はなるほどと思いついて行くと、獣は確かに逃げ出した。虎は、自分を見て獣が逃げたことがわからず、狐の言うとおり、狐を恐れていると思った。