隗より始めよ(ゆれ:先ず隗より始めよ)
- 遠大なことを望むのなら、まず手近なところから始めるとうまくいくものだ。
- 「そんなものは要らない。紙幣の反古をたくさん入れて貰いたい」「ただの反古を入れて置いて、催眠術を掛けて貰う方が早そうだ」「まず人間の方で先に反古になる訳だな。乞う隗より始めよか。人間の反古なら催眠術を掛けなくてもたくさんいる。なぜこう隗より始めたがるのかな」「なかなか隗より始めたがらないですよ。人間の反故が自分で屑籠の中へ這入ってくれると都合がいいんだけれども」(夏目漱石『虞美人草』)
- 言い出した者から、率先して挑戦・実践すべきである。
- (注)出典・由来とは異なる解釈であるが、広く用いられている用法である。
- この時、弁護士のS氏は言いました。「どうです、いま、共食いの話が出た序に、今晩は、人間の共食いを話題としようではありませんか」「いい題目です。皆さんどうです?」と私が申しました。「大賛成!」「結構ですわ!」と皆々同意されましたので、私は申しました。「先ず隗より始めよということがありますから、最初にSさんに御願い致しましょう」S氏は頭を掻いて、「どうも、とんだことを言い出しましたねえ」といい乍ら、でも、すなおに話し始めました。(小酒井不木 『手術』)
- 「今王誠欲致士、先従隗始、隗且見事、況賢於隗者乎」
- (今、王、誠に士を致さんと欲すれば、先ず隗より始めよ、隗すら且つ事(つか)えらる。況や隗より賢なる者をや)
- (解説)
- 郭隗が燕の昭王に、賢臣を集めるにはどうすればよいかとの相談を受けた際に、死んだ馬の骨を大金で求め丁重に葬ったたとえ話をした後、上記の言辞を述べ、まず自分のようなつまらない者を登用すれば賢臣が次々に集まって来るだろうと言い、事実そのようになった故事から。
語義1