結構 (けっこう)
- 完成しており不足がないものや状態。よろしいこと。
- それほどの見識のある人ならば結構である。四角に仕切った芝居小屋の枡みたような時間割のなかに立て籠って、 土竜のごとく働いている教師より遥かに結構である。(夏目漱石 『作物の批評』)
- 「お待たせした。どうも今は結構なものをありがとう」/「実は国許へ帰っている妻から今朝送ってきましたのでちょうどいいから先生に差上げたいと思ってもってまいりました。笹がれいと若狭では呼んでおります。お口に合うかどうかわかりませんが」(九鬼周造 『かれいの贈物』)
- かまわないこと。支障なく受け入れられること。
- 頼山陽が日本外史を書いた山紫水明楼は、四畳と二畳との二間から成つてゐたものだと云ふが、今私は、書斎と寝室を兼ねるのなら、四畳半か三畳で結構だし、書斎だけなら三畳か二畳で結構だと思つてゐる。(河上肇 『小国寡民』)
- 急ぎません退院迄にも一度お便りしますからそれはお読みになってからで結構ですからお送り願います。(山中貞雄 『陣中日誌(遺稿) 附・戦線便り』)
- (足りているので)不要であること。いらないこと。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
結構だろう |
未然形 + う
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過去・完了 |
結構だった |
連用形 + た
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否定形 |
結構でない |
連用形 + ない
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自動詞化 |
結構になる |
連用形 + なる
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言い切り |
結構だ |
終止形のみ
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名詞化 |
結構なこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
結構ならば |
仮定形 + ば
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様態 |
結構そうだ |
語幹 + そうだ
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- (東京式) けっこー [kéꜜkkòò] (頭高型 – [1])
- IPA(?): [ke̞k̚ko̞ː]
- (京阪式) けっこー
結構 (けっこう)
- 並でなく、かなり。
- 学者はわずかな小知恵をもとにしてひたすら異説をたてることのみを志し、これで結構オリジナリティーを出したような顔をしている。(末弘厳太郎 『小知恵にとらわれた現代の法律学』)
結構 (けっこう)
- (構造物の)構成、構造
- 墨国答礼大使一行は……秋葉東照宮宮司出迎へ先導にて東照宮社に入りしが其結構壮麗なるを嘆賞し護摩堂にて休憩(朝日新聞1913年12月30日3ページ「日光の墨特使 結構を嘆賞す」)〔1913年〕
- 尤も南岳の絵もその全体の布置結構その他筆つきなどもよく働いて居つて固より軽蔑すべきものではない。(正岡子規『病牀六尺』)〔1926年〕
- 計画、(作品の)筋書き
- 私は品川に於ける綱宗を主人公にして一つの物語を書かうと思つて、余程久しい間、其結構を工夫してゐた。(森鴎外『椙原品』)〔1916年〕 [1]
- 古今作者を列べて著述の量の多いのと、なかんずく大作に富めると、その作の規模結構の大なると、その態度の厳粛なると、その識見の高邁なると、よく馬琴に企て及ぶものは殆んどない。(内田魯庵『八犬伝談余』)〔1928年〕[2]
結構する (けっこうする)
- 構造物などを組み立てること。構成。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
結構しない |
未然形 + ない
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否定(古風) |
結構せず |
未然形 + ず
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自発・受身 可能・尊敬 |
結構される |
未然形 + れる
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丁寧 |
結構します |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
結構した |
連用形 + た
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言い切り |
結構する |
終止形のみ
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名詞化 |
結構すること |
連体形 + こと
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仮定条件 |
結構すれば |
仮定形 + ば
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命令 |
結構しろ 結構せよ |
命令形のみ
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- ピンイン: jiégòu
- 注音符号: ㄐㄧㄝˊ ㄍㄡˋ
- 広東語: git3gau3
- 閩南語: kiat-kò·
結 構( (簡): 结构 )
- 構成。
- (建物などの)構造。