thakame
キクユ語
編集語源
編集Hinde (1904) は英語 blood に対応するキクユ語「ジョゴウィニ方言」(Jogowini dialect)の訳語として sakame を記録している[1]。なお、これに対応するカンバ語「ウル方言」(Ulu dialect; マチャコスから海岸部にかけての方言)は nthakame、カンバ語「ンガニャワ方言」(Nganyawa dialect; キツイ地区の方言)は ndagami とされている[1]。
- IPA: /ðàkámɛ́/
- Armstrong (1940) では3音節かつ孤立形で全体が平らな声調を帯びる語とされている[2]。Benson (1964) では声調クラスの分類は「クラス4」で、他に同クラスの3音節語幹語には kĩhengere、ngagaca、kĩariũngũ などがある[3]。
- 〔キアンブ方言〕湯川 (1981, 1985) ともに mũtongoria と同じアクセントの型であるとしており、(1981) では「潜在的高高II型」、(1985) では「准高高型」という呼称で括られている[4][5]。
- 〔カベテ方言〕Kagaya (1981:8,10) によると孤立形は [ðàkàmɛ̀] であるが、後ろに nĩ がある場合は [ðàkámɛ́ né]、前に nĩ がある場合も [né ðàkámɛ́] で、前に ti がある場合は [tí ðákàmɛ̀](< [tí ðáꜜkámɛ́])となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによってアクセントの変動が見られる[6]。
- 〔リムル方言〕湯川 (1981:88) によると孤立形は [ðàkàmɛ̀] であるが、後ろに ĩno〈この〉が続く場合は [ðàkámɛ́ énɔ́]、yakwa〈私の〉が続く場合も [ðàkámɛ́ jáákòà]、後ろに nĩ がある場合も [ðàkámɛ́ né]、前に nĩ がある場合も [nééðàkámɛ́] で、前に ti がある場合は [tìíðákàmɛ̀] となる[4]。なお、ti の高さについてはリムル方言と同じくキアンブ方言に属するナイロビ方言を調査した湯川 (1985:199) で高いと訂正されている[5]。また nĩ や ti が長母音となるのは、もともとあったクラス接頭辞 n- が脱落した語幹が h、th、m で始まる語に共通してみられる現象である[4]。
- 〔ナイロビ方言〕湯川 (1985:196,199,201) では孤立形、後ろに yakwa が続く場合、前に nĩ や ti がある場合についての分析が行われているが、ti が明確に [tíí] とされている点を除けばいずれもリムル方言と同様である[5]。
名詞
編集thakame クラス9
ことわざ
編集参照
編集脚注
編集- ↑ 1.0 1.1 Hinde, Hildegarde (1904). Vocabularies of the Kamba and Kikuyu languages of East Africa, pp. 8–9. Cambridge: Cambridge University Press.
- ↑ Armstrong, Lilias E. (1940). The Phonetic and Tonal Structure of Kikuyu. Rep. 1967. (Also in 2018 by Routledge).
- ↑ Benson, T.G. (1964). Kikuyu-English dictionary. Oxford: Clarendon Press.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 湯川恭敏 (1981).「キクユ語名詞アクセント試論――リムル方言について――」 『アジア・アフリカ言語文化研究』22, 75-123.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 湯川恭敏 (1985).「キクユ語名詞アクセント再論」 『アジア・アフリカ言語文化研究』29, 190-231.
- ↑ Kagaya, Ryohei (1981). "An Analysis of Tonal Classification of Noun in the Kabete Dialect of Kikuyu." In Journal of Asian and African Studies, No. 22.