けだし【蓋し】
- (文章語)以下に述べる言説が、かなりの確からしさを有すること。推量の表現。おそらく。のようだ。思うに。
- 「その父賢にして、その子の愚なるものは稀しからず。その母賢にして、その子の愚なる者にいたりては、けだし古来稀なり」(上村松園 『孟母断機』)
- けだし我が輩の所見にて、開知・修身の道は、洋学によらざれば、他に求むべき方便を知らず。(福沢諭吉 『学校の説 一名、慶応義塾学校の説』)
- (漢文)確かな事柄であってもあえて言い尽くさず、ひかえめに言うこと。婉曲あるいは謙遜の表現。私の思うに。ではないだろうか。それはつまり。
- 凡吏于土者、若知其職乎、蓋民之役、非以役民而已也。(柳宗元 『送薛存義之任序』)
- 凡そ土に吏たる者、若其の職を知るか。蓋し民の役にして、以て民を役するのみに非ざるなり。(訳:地方の役人について、君はその職務を理解しているか。それはつまり人民に使役されるものであって、人民を使役するのではないのだ。)[1][2]
- (文章語)まさしく。たしかに。
- オシラ神の事については、ことにこの方面の研究にはなはだ多くの薀蓄を有せられる佐々木喜善君の報告を、本誌創刊号上において紹介するを得たことを光栄とする。たまたまこれと時を同じゅうして、わが郷土研究界の権威なる柳田國男君が、「オシラ神の話」と題する興味深い一文を文藝春秋の九月号に発表せられた。けだしこの神に関する研究が、ますます盛んになろうという機運の到来したものといわねばならぬ。(喜田貞吉 『オシラ神に関する二三の臆説』)
けだし【蓋し】
- (法律)なぜなら。[3]
けだし【蹴出し】
- 腰巻きの周りにまとう和装の下着の一種。
- ↑ 星川, 清隆 (1978(昭和53)-08-10), “送薛存義之任序”, 唐宋八大家文読本(二), 新釈漢文大系, 71 (再 ed.), 東京都千代田区神田錦町: 明治書院, pp. 738-739
- ↑ “語法: 蓋・恐・疑”, 新明解漢和辞典 (3 ed.), 三省堂, (1986-12-10), p. 489
- ↑ 橋下, 徹 (2020-01-29), “用語3 「けだし」”, ちょっと意味の違う法律用語, http://hashimoto-law-office.jp/information/2020/01/post-171.html 2022年2月12日閲覧。