信言は美ならず、美言は信ならず(しんげんはびならず、びげんはしんならず)
- 本当に信頼ができる真心のこもった言葉は飾り立てられておらず、巧みに飾り立てられた言葉には真実がなく信用できない、ということ。
- 信言美ならず美言信ならず、軽薄ならぬ彼れが一言、はて美しき心立て、――河竹黙阿弥「川中島東都錦絵(川中島合戦)」『黙阿弥脚本集』第22巻、河竹糸女補修、河竹繁俊校訂編纂、春陽堂、1922年7月、114頁。
- 彼等は上に父母なく、下に妻子さへなく、只言を巧みにして君を欺き、飽くまで媚びて、傍難を思ふ事なし。夫れ信言は美ならず、美言は信ならず。宜なり佞言は、甘くして蜜の如し。――曲亭馬琴「三七全伝南柯夢巻之三」『曲亭馬琴集』上、誠文堂〈近代日本文学大系 第15巻〉、1933年4月、669頁。
- (白文)信言不美。美言不信。善者不辯。辯者不善。知者不博。博者不知。聖人不積。既以爲人。己愈有。既以與人。己愈多。天之道。利而不害。聖人之道。爲而不爭。
- (訓読文)信言は美ならず、美言は信ならず。善者は辯ぜず、辯ずる者は善ならず。知る者は博からず、博き者は知らず。聖人は積まず、既く以て人の爲にして、己愈有り。既く以て人に與へて、己愈多し。天の道は利して害せず、聖人の道は爲して爭はず。
- 小林一郎『老子』平凡社、1946年11月、再版、286頁。
- 『故事・俗信 ことわざ大辞典』尚学図書編集、小学館、1982年2月、604頁。