得心が行く(とくしんがいく)
- 十分に納得して気持ちが落ち着くこと。
- 「宮か、宮は別にどうといふ事は無いのだ。御父様や御母様の宜いやうにと云ふので、宮の方には異存は無いのだ、あれにもすつかり訳を説いて聞かしたところが、さう云ふ次第ならばと、漸く得心がいつたのだ」――尾崎紅葉 (1897年). “図書カード:金色夜叉”. 青空文庫. 2023年5月13日閲覧。
- 私はこう云うような事を申して、妻を慰めました。妻もやっと得心が行ったのでございましょう。それからは、「ただあなたがお気の毒ね」と申して、じっと私の顔を見つめたきり、涙を乾かしてしまいました。――芥川龍之介 (1917年). “図書カード:二つの手紙”. 青空文庫. 2023年5月13日閲覧。
- 味を身につけるには、客からのご馳走でなく、板前からの宛てがい扶持でなく、身銭を切って食ってみること。本気でそれを繰り返してこそ、初めて味が身につき、おのずと分って、真から得心がいくのである。――北大路魯山人 (1935年). “図書カード:道は次第に狭し”. 青空文庫. 2023年5月13日閲覧。
- 『故事・俗信 ことわざ大辞典』尚学図書編集、小学館、1982年2月、813頁。