日本語

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名詞

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くもすけ 蜘蛛助とも】

  1. 江戸時代に、宿場街道において荷駄運搬や川渡し、駕篭かきに携わった人足。制度として、無宿人が雇われ、しばしば、不法な所業で旅人にたかるなどしたため、下賤な民とされた。
    • 小田原から、箱根越の雲助は、海道一の駕屋として、威張っていた。七百文の定賃に、三百文の酒手ではいい顔をしないくらいであった。美酒美食で、冬の最中にも担ぐのを自慢にしていた。その裸のへ、が降っても、すぐ、消えて行くのが、彼等の自慢の第一であった。(直木三十五 『南国太平記』)
  2. (蔑称) 昭和期において、タクシー運転手などをさげすんで言った言葉
    • 日本巡査は、明治初年、士族の食いっぱぐれが、悉く採用されて「くや人民ッ、ああん」と云った時分から、伝統的に、威張るようにできている。その人々が、円タク雲助と、取組むのだから気の荒くなるのは当然だが、「馬鹿あ」「止まれっ」と、怒鳴っているのを見ると、巡査、市民共に、一度ロンドンへ見学にやってやりたい。(直木三十五 『大阪を歩く』)

語源

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  • 無宿人を雇いそれらが定住していなかったため「雲」と称したとも、旅人を待ち構えたことから「蜘蛛」と称したとも言われる。

関連語

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