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名詞

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(せっぷくもの)

  1. 切腹という刑罰があるような時代であれば)切腹に処されるであろうほどの大きな誤り失敗
    • 山の人が何事かを吹聴して歩く為には、それが、若し男の場合ならば、まさに切腹物とでも云いたいような或る事を、私は彼女の上に抑えていた。――稲垣足穂「莵」『稲垣足穂全集』5、ユリイカ、1958年12月、123頁。
    • 「殿のお噂か! 聞えたら切腹物じゃのう。」――菊池寛「忠直卿行状記」『菊池寛文学全集』第2巻、文藝春秋新社、1960年3月、283頁。
  2. 切腹の場面見せ場となる人形浄瑠璃作品
    • このほかに切腹を趣向にしたものは、楠昔噺の徳太夫夫妻の刺違えての死、蝶花形名歌島台の小坂部兵部の切腹、新薄雪物語の園部兵衛と幸崎伊賀守の切腹等も切腹物としては異なった趣向である。――内海繁太郎人形浄瑠璃と文楽』白水社、1958年7月、169頁。
    • それは初期の身代り物や切腹物にすでにその原型から見られるのであるけれども、その時にはまだはつきりとその劇構成の効果を意識していなかつたと想像される。――近石泰秋『操浄瑠璃の研究』続編、風間書房、1965年5月、94頁。