取り付く島がない (とりつくしまがない)
- 海で溺れても上陸する島がないこと。
- 頼りとしてすがる手掛かりがないこと。
- それは、他のあらゆるものから締めだされ、とりつく島もない孤絶のときに、それ一つのみが意志の全部となって燃え立ってくるのである。(坂口安吾 『我が人生観 (四)孤独と好色』)
- 私はむしろ、あの一味で疑うとすれば、滝沢三次郎であった。しかしこれは当夜は家に居らず、とりつく島がない。(坂口安吾『復員殺人事件』)〔1950年〕[1]
- 相手を顧みる態度が見られないこと。
- すると、青木は、何を無礼な質問をと、いったように例のごとく高飛車に、「なんだってそんなことをきく必要があるんだ。どこで買おうと俺の勝手じゃないか」と、冷淡にほとんど取りつく島もないような返事をした。 (菊池寛『青木の出京』)〔1918年〕[2]