格 段(かくだん)
- 程度の違いが激しいこと。
- のんこうには長次郎にみられる強さはない。豊かさに於ても格段に劣る。(北大路魯山人「私の作陶体験は先人をかく観る」)
- 故に、芸術とは、興味が、笑ひといふ自然的作品よりも、作品といふ人力の息吹きのかゝつたものを作り出すためには、興味そのものの内部に、生活人よりも格段と広い世界を有さねばならぬ。(中原中也「芸術論覚え書」)
- タオルミーナはポンペイのような廃墟でないから、家は破損したり繕われたりしていても、とにかく人が住まって、生きてる町だけに、おもしろさは格段である。(野上豊一郎「エトナ」)
- 真に現時の絵画を、過去のそれに比較するに及んでは、格段の趣きで感慨殊に深きを覚ゆる。(上村松園「随想」)
- 通常と比べて大きく異なること。格別。破格。特別。
- けれども俳句の方はそこになるとまったく人間社会というものをかけ離れて、格段に高い地位に自分をおいて、人間をも前言ったごとく天然物と同一に見て、俗情を離れて観察するようなふうになっている。(高浜虚子「俳句の作りよう」)
- 宗助は苦笑しながら窓硝子を離れてまた歩き出したが、それから半町ほどの間は何だかつまらないような気分がして、往来にも店先にも格段の注意を払わなかった。(夏目漱石「門」)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
格段だろう |
未然形 + う
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過去・完了 |
格段だった |
連用形 + た
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否定形 |
格段でない |
連用形 + ない
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自動詞化 |
格段になる |
連用形 + なる
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言い切り |
格段だ |
終止形のみ
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名詞化 |
格段なこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
格段ならば |
仮定形 + ば
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様態 |
格段そうだ |
語幹 + そうだ
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