副詞・名詞
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ただいま【只今、唯今】
- 今現在。
- 「ただいまは八時五十二分三十一秒です」(海野十三 『ある宇宙塵の秘密』)
- 手元の金子は、すべて、只今ご用立致しております。(宮沢賢治 『とっこべとら子』)
- ごく近い未来、いますぐに、ただちに。
- 只今、電燈を点けますからどうかそこからおはいり下さい。(宮沢賢治 『さるのこしかけ』)
- ごく近い過去、つい先ほど。
- ただいまは牧君の満洲問題――満洲の過去と満洲の未来というような問題について、大変条理の明かな、そうして秩序のよい演説がありました。(夏目漱石『道楽と職業』)
- ただいまの記録、2分20秒5。
ただいま【只今】
- 帰宅のときの挨拶。帰宅した側が用いる。(同等以下の者に対して言う(新明解国語辞典(三省堂)第7版。)
- 「――ただいま」/「おや、おかえんなさいまし」/ 詮吉が書類鞄をかかえたまま真直二階へあがろうとすると、唐紙のむこうから小母さんがそれを引止めるように声をかけた。/「――ハンカチをかわかしておきましたよ」/「ああそうですか……ありがとう」(宮本百合子『聟』1934年)
- いますぐに対応する、言いつけを行う、という意味の返事。
- 「これこれ女、ナゼさいぜん申しつけた通り、隣室へ申し入れん」/「はい、どうも相済みませぬ、つい忙しいものでございましたから」/「早速、申し入れろ」/「はい、ただいま……」(中里介山『大菩薩峠 三輪の神杉の巻』1913年)