軍配をあげる(表記の揺れ:「あげる」に「上げる」「挙げる」「揚げる」を当てる。)
- (相撲) 相撲の行司が、軍配で勝ち力士を示す。
- 然るところ、同体に落つべき太刀山が、極めて瞬間の活らきとして、左の手先を土俵へ突いた。斯くと見て取つた行司の軍配は、仕掛けし方の有利と認めて、駒に颯と軍配を揚げたが、これは行司の作法上常式の差し方で不思議が無い。(栗島山之助 『八百長くづれ』)
- 二つのものを比較し、いずれが優れているものと判断する。
- しかも、千早が亡ぶか、寄手の長陣崩れに終るか、それの如何によっては、自策もきめておかねばならない。――ここ隠者の兵学眼からは、宮方か鎌倉幕府か、いずれに軍配を上げますかと、その日和見主義と子への盲愛に晦んだ親は意中の悩みをおくめんもなくさらけ出して訊ねるのだった。(吉川英治 『私本太平記 千早帖』)